中国、空港物流も無人化へ。24時間稼働の自動運転車、貨物輸送を効率化
空港向けの無人運転車を手がける中国スタートアップ企業「清維如風」(全称、北京清維如風科技)がこのほど、プレシリーズAで雲時資本(Seas Capital)と啓迪創投(TusStar Venture Capital)から数千万元(数億円超)を調達した。資金はチーム拡充、製品開発、事業運営に充てられる。 清維如風は2022年に設立され、特定条件下での無人運転が可能な自動運転レベル4の車両のほか、人工知能(AI)を組み込んだデジタル化プラットフォームを開発し、空港、航空会社、物流会社向けにワンストップ型ソリューションを提供している。中心メンバーには、理系の名門・清華大学出身で自動運転開発の経験を積んだ人物がそろう。無人運転車などのソリューションはすでに、西安や蘭州、ウルムチ、成都など11都市の空港に配備されている。
閉鎖的な環境で規則的に運行する空港物流は、自動運転の活用が見込める重要分野となっている。中国民用航空局は「中国民航四型機場建設行動綱要」の中で、IoT、データ共有、高度連携、スマート運行を完備したスマート空港を建設する必要があると指摘している。このうち、最も重要な要素に位置づけられるのが自動運転だ。 清維如風のコア技術は主に3つ。自動運転安全システムは、航空機やスタッフ、その他の障害物を効果的に識別し、緊急ブレーキを作動させる。高精度測位システムは、無人運転の特殊車両が空港全域で運行・作業できるようにする。大規模言語モデル(LLM)に基づくスマート計画システムは、規則に沿って特殊車両の作業手順などを学習する。 同社の無人運転車は複合的なセンサーシステムを搭載しているため、自律的な走行が可能なだけでなく、交通違反や運転ミス、事故などを防ぐこともできる。空港内のネットワークに接続することで、特殊車両を運用する際の負担を軽減することも可能。もちろん、24時間稼働できるため、空港物流の人件費を削減すると同時に、輸送量の拡大にもつながる。 中国民用航空局が2024年2月に発表した計画によると、2035年までに全国の貨物空港を現在の全国259カ所から400カ所に増やし、年間発着回数3000万回を確保できるようにするという。中国は、今後10年にわたる貨物空港の建設ラッシュを迎えると予想される。 物流量や人件費の高騰が続くなか、無人運転車が空港物流の未来の課題を解決するソリューションになるだろう。清維如風が開発した無人トーイングカー(けん引車)など各種特殊車両は、すでに国内11都市の空港が導入しているほか、2023年10月には韓国の空港が調達している。 同社は今後、空港内の貨客輸送のほか、無人配送やドローンによる「低空経済」分野などにも事業範囲を拡大していく計画だという。 *1元=約21円で計算しています。