接戦が伝えられた激戦7州は「トランプ氏一色」…都市部・富裕層にも浸透
9郡に増加
ハリス氏は、バイデン氏が前回選で獲得した約8100万票を大きく減らした。記録的インフレ(物価上昇)などにより、民主党の伝統的な支持層が離れたことがうかがえる。トランプ氏は、全米3000超ある郡のほぼ全てで得票を伸ばした。民主党支持層が多い都市部での躍進も目立った。
ワシントン・ポスト紙の集計によると、経済規模が大きい上位50郡のうち、20年にトランプ氏が勝利したのは1郡だけだったが、24年は9郡に増えた。
フロリダ州の最大都市マイアミを含むマイアミデード郡では16年に民主党のヒラリー・クリントン氏が30ポイント差、20年はバイデン氏が7ポイント差で勝利したが、今回はトランプ氏が11ポイント差でハリス氏を制した。民主党の敗北は1988年以来で、地元民主党組織に衝撃が広がっているという。
富裕層もトランプ氏支持に動いた。民主党は、世帯収入平均が10万5000ドル(約1600万円)超の地域に住む有権者からの支持が2020年と比べて4・2ポイント低下した。下げ幅は有権者全体で失った3・7ポイントよりも大きい。一方、トランプ氏は富裕層の約43%の支持を集め、20年の約39%から伸ばした。
ハリス氏は、無党派層が比較的多い都市部郊外の郡で支持を伸ばせなかった。人工妊娠中絶問題を争点化して郊外に住む高学歴の女性の支持に期待したが、有権者の関心は経済問題に集まった。CNNの出口調査で、ハリス氏はトランプ氏に女性の支持で8ポイント優位に立ったが、20年のバイデン氏の15ポイントのリードに及ばなかった。