「魚庭あこう」に「いちじく大福」 シンポで大阪名物候補発見!?
環境農林水産総合研究所の研究成果発表
環境保全と農林水産業の振興を多角的に研究する大阪府立環境農林水産総合研究所(大阪府羽曳野市)の研究成果を発表する「環農水研シンポジウム」がこのほど大阪市内で開かれ、多彩な分野の取り組みが報告された。「魚庭あこう」「飲むぶどうジュレ」「ミニいちじく」。いずれも、これから注目を浴びそうな次の大阪名物候補たちだ。
「魚庭あこう」は「ふぐ」と並ぶ超高級魚
「魚庭あこう」。「魚庭」は「なにわ」と読む。かつて大阪湾が魚の宝庫であり、「魚が自在に泳ぎ回る庭」のようだと表現されたことから、「魚庭」が大阪湾の美称となった。 「あこう」の標準和名は「キジハタ」。全長が30~40センチ、最大で60センチに成長する。初夏が旬とされる白身の美味しい魚で、食通の間では冬の「ふぐ」、夏の「あこう」と並び称される超高級魚だ。大阪湾で獲れる魚ではもっとも高額で取引され、卸売価格は1キロ1万円に達するという。しかし、1980年代後半から漁獲量が減少し、90年代にはほとんど獲れなくなった。 そこで、大阪府が2000年から資源回復のための種苗放流を開始。同研究所の粘り強い種苗生産技術開発や標識魚追跡調査などで、漁獲量が復調傾向を示し始めている。 今後は年間10万尾の安定放流で、漁獲量10トン体制を目指す。官民一体で「魚庭あこう」をブランド化し、品質管理に努めながら全国へ発信していく。担当研究員は「あこうは造りでいただくだけで、美味しさが際立つ。魚庭あこうを大阪湾のシンボルフィッシュにしたい」と意気込む。
ぶどうを粒々のまま食べる感覚「飲むぶどうジュレ」
「飲むぶどうジュレ」は同研究所とぶどう農家、民間会社が共同開発し、芸大生たちが商品デザインに参加する重層的なコラボレーションで誕生した。 ぶどうのデラウェアは旬が短い。旬以外の季節にも、美味しいぶどうを味わってほしいというぶどう農家の発想から、ぶどうを食べているような感覚になる果肉入り飲料の商品開発がテーマになった。 ぶどうの果実の皮をむくのは、容易ではない。困難だった果肉と果皮の分別に、同研究所が成功。民間企業と連携した製品化研究を経て、ぶどうの粒をそのまま飲む感覚の清涼飲料水「飲むぶどうジュレ」と、果肉入りリキュールの商品化が内定。芸大生がぶどう園の見学などを踏まえてラベルデザインを手掛けた。 今後はインターネット通販や直売・イベントなどで販路拡大が想定されている。