共産党の土地売却、前年比77倍の17億円 作家・森村桂さん経営の軽井沢のカフェ跡など
共産党が昨年1年間に土地売却によって得た収入が前年比約77倍の約17億2500万円だったことが、総務省が11月29日に公表した政治資金収支報告書で分かった。この中には、平成16年に死去した作家、森村桂さんの旧住居敷地やカフェの跡地も含まれている。 【写真】共産党中央委員会が入るビル ■森村さんの夫が遺贈 収支報告書や登記事項証明書によると、森村さんがかつて住んでいた東京都杉並区西荻北の住宅敷地跡の約560平方メートルや、森村さんが経営していた長野県軽井沢町のカフェ「アリスの丘ティールーム」の跡地、近くの山林など約1万9500平方メートルを夫が所有していた。 夫は令和3年に死去し、土地は遺言による寄付である「遺贈」によって共産党に渡っていた。同党はこれらの土地を昨年、計7億7800万円で都内の不動産会社などに売却した。 森村さんは、南太平洋のニューカレドニアへ単身で渡航した体験を基に書いた「天国にいちばん近い島」がベストセラーになり、後に映画化もされた。ほかに「違っているかしら」「ソビエトってどんな国」などの著書がある。アリスの丘ティールームは森村さんの手作り焼き菓子が人気だった。 ■党財政の再建に取り組む 共産党はこのほかに、渋谷区千駄ケ谷の施設の敷地を9億円で東急不動産に売却し、千葉県柏市の土地も約4700万円で手放した。また、東京都選挙管理委員会が11月21日に公表した政治資金収支報告書によると、共産党都委員会は遺贈された杉並区高円寺南の土地を1億1000万円で売却した。 政党助成金や企業・団体献金を受け取っていない共産党は、機関紙「しんぶん赤旗」の購読料や党費、個人寄付などを財源としている。赤旗の部数減少を受け党財政の再建に取り組んでいるほか、党中央委員会が入るビルの改修のための募金を呼び掛けている。 土地売却が大幅に増えたことについて党広報部は、産経新聞の取材に「おたずねの土地売却収入は、もともと日本共産党が保有していた土地の売却と、党支持者からいただいた遺贈の不動産を売却したものです」とのみ回答した。