「ディープインパクトに武豊が乗っていなかったら…」調教師が明かす武豊の“神騎乗”「思わず二度見、三度見したほど驚いた」早業とは?
誰よりも乗り、誰よりも勝ち続ける。数多ある快勝劇の中からベストをあげようにも、見方次第で文字通り、枚挙に暇がない。武豊の超絶技巧を間近で見てきた仲間たちはどのレースを選ぶのか? 公私で親交の深い元騎手・現調教師の二人が明かしてくれた。 発売中のNumber1107号「神騎乗伝説」に掲載の[盟友が語る]「最善を重ねる武豊の真髄」より、内容を一部抜粋してお届けします。 【貴重写真】「わ、若い!」「スタイルよすぎ…本当に50代?」武豊“30年前との比較写真”が衝撃的…ディープインパクト、オグリキャップ、メジロマックイーン、キタサンブラック、ドウデュースまで名馬との歩みを時系列で一気に見る(全60枚)
ディープに武豊が乗っていなかったら…
武豊の神騎乗は何か? というテーマ。石橋守調教師は「ディープインパクト('02年生まれ、牡、父サンデーサイレンス)の騎乗はどの競馬も味わい深かった。もし豊が乗っていなかったら、あの馬はどうなっていたかと考えたこともある」と、一連の騎乗における人馬のコンタクトの奥深さを強調した。その中でひとつあげるとすれば、菊花賞('05年、GI)だという。 「ディープインパクトが新馬戦を勝った直後から、豊は宝物を見つけたように興奮していました。マスコミには平静を保っていたようですが、僕らから見たらよっぽどすごい馬なんだろうなとすぐに想像がつきました。あんな表情はなかったですからね。連勝を重ねたことで怪物ぶりが知れ渡ることになりましたが、それでも菊花賞は難しいかもしれないと思っていたんです。前進気勢にあふれた馬と見えていましたから、ゴール板を1回通過してさらにもう1周するのは、豊でも苦労するんじゃないかとね。しかも、無敗の三冠がかかった絶対に負けられない戦いでしたからね。そこを豊はやってのけたんです。危惧した通り1周目からその気になってしまったディープでしたが、なだめつつ、しかもやる気を失わせないように運んだ絶妙な騎乗でした」 石橋がもう一つ印象的な騎乗をあげてくれたのは、トゥザヴィクトリー('96年生まれ、牝、父サンデーサイレンス)で勝った、エリザベス女王杯('01年、GI)だ。先行、あるいは逃げでそれなりの実績を残してきた馬に騎乗して、このレースだけは意識的な後方待機。「前半は先行馬群から少し外めに離して馬の行く気を逸らし、追いついたところで馬群にピタッとくっつけて、馬の気持ちのメリハリをはっきりさせようと意図した乗り方。それが見事にはまって、見ているこっちも気持ちよかったほどなので、豊はまさに会心だったと思いますよ。GIであれができるのがすごいんです」。
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