社会人は説明できないと恥ずかしい!? ニュースキーワード「2024年問題」を大江麻理子キャスターとおさらい!
テレビ東京『WBS(ワールドビジネスサテライト)』の大江麻理子キャスターがセレクトした“働く30代女性が今知っておくべきニュースキーワード”を自身の視点から解説する連載。今回は2024年問題をピックアップ。 【フォトギャラリー】大江麻理子さんと考える社会問題「働く30代のニュースゼミナール」
【2024年問題】今年の日本経済のリスクに
「働き方改革関連法が施行されたのは2019年。その中で時間外労働の上限規制が5年間猶予されていた業種に、今年4月から規制が適用されることで生じる問題を指します。 対象はトラックドライバーなどの自動車運転業や建設業、医師の人たちです。長時間労働をしないと回らない状況を改善するための猶予期間でしたが、環境整備が特に運送の分野で難しいと見られています。 物流が滞ると社会のあらゆるところに影響が出るという意味で日本経済のリスクになりかねません」
【大江’s eyes】持続的なインフレの状況に日本がやっと変わってきた
読者アンケートを見ると、日本経済への関心が高いですね。デフレの時代から転換してインフレの状況になり、自分はどう行動すればよいのだろうと不安に思っていらっしゃる方も多いのかもしれません。 理想的なインフレとは、ものが売れて企業の業績がよく、働いている人のお給料が増え、ものの値段を少し高くしても人々はそれを買うことができるというかたちで、経済の好循環が生まれる状態だと言われています。その状況が、前年比プラス2%ぐらいの物価上昇が続くことなのではと、長く日銀は2%の「物価安定の目標」を掲げて金融政策を行っています。 日銀が望む持続的、安定的なインフレ状況へと日本が徐々に変わってきている、現在はそういう局面だと思います。日本企業の好調な業績を背景に、日本株も堅調です。政労使の三者が賃上げを目指し、今年はその規模が大企業から中小企業まで及ぶかどうかが注目されています。 読者の方から、日銀の政策変更に伴う住宅ローンの金利変動を心配する声がありました。確かに今後、影響が出てくるかもしれません。ただ、住宅の買い控えなどが起きて景気がしぼんでしまわないよう、日銀の植田総裁は、もしマイナス金利を解除しても充分な金融緩和状況を維持する姿勢を示しています。 一方、今年の日本経済において、不確実性が高いと見られているのが2024年問題です。特に物流は社会の要ですから、日本経済のリスクになりかねないと懸念されています。 大江麻理子 おおえ まりこ●テレビ東京報道局ニュースセンターキャスター。2001年入社。アナウンサーとして幅広い番組にて活躍後、’13年にニューヨーク支局に赴任。’14年春から『WBS(ワールドビジネスサテライト)』のメインキャスターを務める。 イラスト/松田奈津留(visiontrack) 取材・原文/佐久間知子 ※記事の内容は2024年2月の取材時点のものです。 ※BAILA2024年5月号より抜粋