こんなにも頼もしいGORE-TEX プロダクト。その謎を解明します
キャンプや登山用のギア、梅雨対策グッズなどを見ると、多くのウェアやシューズに「GORE-TEX」のタグやマークがついています。「GORE-TEX」はどうしてこんなに多くのブランドに採用され、ユーザーに支持されているのでしょうか。 【全画像をみる】こんなにも頼もしいGORE-TEX プロダクト。その謎を解明します
「GORE-TEX」とはゴア社が提供する素材ブランド
生地のことはGORE-TEXファブリクスと呼ばれ、その生地が採用された製品のことをGORE-TEX プロダクトと言います。GORE-TEX プロダクトは、防水性、防風性の高さによって風雨から着用者の体を守り、優れた透湿性によって衣服内の環境を快適に保ってくれるんです。 防水機能を備えた素材は数あれど、GORE-TEX プロダクトが抜群の認知度と人気を誇っている理由はどこにあるのでしょうか。それは信頼性にあると、GORE-TEXブランドのマーケティングを担当する平井真理子さんは言います。 「“GORE-TEX”は素材のメーカーで、素材を提供しているだけと思われている方もいるかもしれませんが、実はそうではないんです。たとえば、アウトドアメーカーがGORE-TEXファブリクスを使ったアウターウェアを作るとき、防水性、防風性、透湿性がGORE-TEXプロダクトとしての基準を満たしているか、ゴア社が最終製品のテストを行なっています。 またウェアの縫製や縫製した部位にシームテープを貼るのはアウトドアメーカー側の工場ですが、その工場についても認定制度があります。労働者の働く環境も含めてチェックをし、ゴア社が認定した工場でのみGORE-TEXプロダクトを作ることができるんです」(平井さん) 最終製品にも工場にもゴア社のOKが必要とは…! GORE-TEXプロダクトを作るためのハードルはなかなかに高いようです。 たとえばシューズを作るとき、アッパー素材を用意し、ブーティ型のメンブレン(※)と組み合わせるのは、もちろんシューズブランド側。しかし、アッパー素材や設計によっては、ゴア社が求める透湿性が出ないことがあるそうです(ウェアの場合は、ポケットをたくさんつけようとすると透湿性の基準を満たせないことが起こりやすいのだとか)。 ※GORE-TEXファブリクスの優れた防水・防風・透湿性を支えているのが、表生地と裏地の間にあるメンブレン。PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を延伸加工したePTFE(延伸ポリテトラフルオロエチレン)という素材が元になっています。ちなみにこのePTFEは、ゴア社の創業者であるビル・ゴアとヴィーヴ・ゴア夫妻の息子であるボブ・ゴアさんが1969年に発見。 そうすれば、当然テストは不合格となり、製品作りはやり直し。GORE-TEXプロダクトを作るには、時間もリソースも必要というわけですね。 そして、この手間隙が製品の機能を担保し、信頼に繋がっているのでしょう。 「1インチ四方のGORE-TEXメンブレンには、90億個の孔があるのですが、水滴の20,000分の1という非常に小さな孔で、水滴は通ることができません。しかし、水蒸気は通り抜けることができるため、高い防水性能と透湿性が両立できるんです」(平井さん)