テスラが2万5000ドルの「モデル2」を断念、マスクが株主に発言
テスラCEOのイーロン・マスクは、2万5000ドル(約380万円)の廉価版電気自動車(EV)である「モデル2」を発売する計画がないことを確認した。彼のこの発言は、約6カ月前にメディアの報道を否定した際のコメントを覆したものと受け取れる。 ドナルド・トランプの大統領選挙キャンペーンに多額の献金をしているマスクは、オースティンに拠点を置くテスラが米国時間10月23日に、予想を上回る2024年第3四半期(7~9月)の利益を報告した後、モデル2と呼ばれるEVの状況に言及した。彼は、決算報告の電話会議で株主からの質問を受け、低価格の非ロボタクシーモデルの状況について尋ねられた。 「私たちは、非ロボタクシーモデルを作っていない。私は、この会社の未来が自動運転テクノロジーであることを非常に明確にしていると思う」とマスクは語った。 今月初めにマスクは、カリフォルニア州バーバンクのワーナー・ブラザーズ・スタジオで開催したイベントで、テスラの未来についてのビジョンを発表し、2026年に生産が始まる「サイバーキャブ」と呼ばれる2人乗りのEVロボタクシーモデルの価格が約3万ドル(約460万円)になると語った。 そのような製品が実際に予定通りに、そして約束通りの価格で登場するかどうかはまだ不明だ。全体として、テスラの目標はすべての製品の価格を引き下げることであり、マスクは、政府の補助金を考慮すれば3万ドル(約460万円)以下の車両が販売できると見込んでいると説明した。 ロイターは4月に、テスラがモデル2プログラムを中止したと報じた。この車両は同社がメキシコに新たに建設しようとしていた工場で生産される可能性があった。マスクは、その際にこの報道を否定し、ロイターが「嘘をついている」とX(旧ツイッター)に投稿した。それにもかかわらず、この6カ月間、彼はこの車両が計画されているかどうかについて詳細を明らかにしなかった。テスラはまた、メキシコ工場の建設計画を棚上げにした。 マスクは、テスラの未来が単なるEVメーカーではなく、自動運転テクノロジーやヒューマノイドロボットにあると繰り返し述べている。それにも関わらず、9月30日までの四半期で稼いだ252億ドル(約3兆8400億円)の売上の89%が車両とバッテリーの販売によるものだった。同社の財務報告書には、AIを活用したサービスに関連する収益が特記されていない。 テスラの株価は23日の決算発表を受けて時間外取引で12%上昇した。同社の純利益は、25億1000万ドル(約3830億円)で、FactSet(ファクトセット)がまとめたアナリスト予想の20億1000万ドル(約3063億円)を大きく上回った。
Alan Ohnsman