自分らしく生きる姿見せたい 難病ALSの患者 瀬戸内町で「命の授業」
手足や顔の筋肉が徐々に動かなくなる難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者で鹿児島県瀬戸内町在住の川井志津子さん(72)の「命の授業」が5日、同町の阿木名小中学校(阿部康夫校長)で開かれた。中学生と保護者ら約30人が参加。川井さんは病と向き合う苦しさや、自分らしく生きようとする前向きな思い、周囲への感謝の気持ちを述べ、「死ぬことよりも自分らしく元気に生きたことを伝えたい」と生徒らへ語り掛けた。 ALSは筋肉を動かし運動をつかさどる神経が障害を受け、手足やのど、舌や呼吸に必要な筋肉が徐々にやせていく進行性の病気。全国の患者数は1万514人(2020年)とされ、奄美大島には川井さんを含め9人の患者がいる。 川井さんはケアマネジャーの資格を持ち、長年福祉関係の業務に従事してきた。22年9月ごろから腕の違和感を感じるようになり、さまざまな病院を訪ねた末、23年8月にALSの診断を受けた。県外の娘のそばに移住し、介護支援事業所の開設に向けて取り組んでいる最中だった。 悲嘆に暮れていた川井さんだが、古里に帰り、友人らと接することで「以前の自分らしく生きる」ことを意識するようになったという。現在は家族の手助けや訪問看護などを受けて暮らしている。生徒たちへ「当たり前の毎日に感謝して夢に向かって成長してほしい。つらさも楽しさも感じながら、私もまだまだ頑張る」と話し、生きることの尊さを伝えた。 3年の男子生徒(14)は「今まで当たり前だと思っていた生活のありがたさに気付かされた」と話していた。