スノボの歴史を変える16歳・鬼塚の存在
昨年のソチ五輪でスキーのハーフパイプを制し、2013年の世界選手権で優勝したデビッド・ワイズは、「FISには、我々に対する敬意が全く見られないとして」として強くFISを批判すると、他の選手が同調している。 だが、仮に日程が被らなかったとしても、世界選手権が世界一を決める大会になったかどうかは微妙なところ。ハーフパイプで圧倒的な実績を残してきているショーン・ホワイトなど、これまで一度も世界選手権に出場していない。 女子スロープスタイルに話を戻すと、やはり、アンダーソン、ノレンダール、プライアー、エンニ・ルカヤルビらと同じ舞台で戦い、その大会を制してこそ、初めて頂点に立ったと言えるが、現在、スロープスタイルのレベルはこれまでになく高く、スペンサー・オブライアンという選手など、先週のXゲームで、女子のスロープスタイルの大会史上、初めてバックサイド900をメイクしたものの、表彰台には上がれなかった。 では、鬼塚の世界での現在地はどこなのか? それがはっきりするとしたら、3月に行われるUS OPENではないか。 実は、昨年の大会でも鬼塚はUS OPENに出場。見事、4位に入った。ただ、トップはアンダーソン、2位はオブライアン、3位は現在故障中のイザベル・デルングスと、いずれも強豪が上位を占め、壁が厚かった。今回はどこまでトップとの距離を詰められるか、あるいは超えられるか。今年の成長を図る上でも、US OPENは、その試金石となりうる。 それにしても今、鬼塚も含め、日本のトップボーダーたちは、世界でトップを争い、米国、ヨーロッパの選手と肩を並べるまでになった。昨年のソチ五輪では、男子ハーフパイプで平野歩夢が2位、平岡卓が3位に入ったが、これはフロックでも何でもなく、彼らの世界での現在地そのものだ。 平岡は、昨年3月に行われたUS OPENで2位に入ると、TTRのハーフパイプランキングで年間1位に輝いた。今回のXゲームの男子ハーフパイプでも、平岡は2位に入ったが、トリックのスムーズさでは、優勝したダニー・デイビスを勝るほど。平野は同イベントで6位だったが、この順位では彼にとって屈辱的な結果であるはずである。