急騰遂げたテスラ株に試練か、年間販売台数が約10年ぶり減少の可能性
(ブルームバーグ): 電気自動車(EV)メーカーの米テスラは、ドナルド・トランプ氏の米大統領返り咲きで恩恵を受けるという高揚感に包まれているものの、同社が約10年ぶりの年間販売減少を回避できるかどうかウォール街に確信はない。
ブルームバーグのアナリスト調査では、テスラの10-12月(第4四半期)納車台数は約51万400台と予想されている。実際にそうなれば、同社にとって四半期ベースの新記録となるが、テスラが予測する2024年通年での小幅増加を達成するには、さらに約4600台を販売する必要がある。
テスラは1月2日に生産台数と納車台数を発表する。
テスラの時価総額は11月の選挙日から12月中旬までに7330億ドル(約115兆円)余り拡大し、1兆5400億ドルのピークに達した。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)がトランプ次期大統領の主要献金者として台頭したことで、同社などマスク氏率いる企業に有利に働くと投資家はみている。しかし年間販売が落ち込めば、考えを改める動きが出る可能性もある。
結局のところ、トランプ氏の政策方針はテスラにとってスラムダンクとは言い難いものだ。自動運転車の導入に向けた連邦政府の枠組みは楽観的な材料だが、同社の技術が追い付いているかは定かでない。トランプ氏のアドバイザーらは、EV補助金の削減、およびテスラに著しい収入をもたらしている燃料規制や汚染規制の撤回を提言している。
投資会社ディープウォーター・アセット・マネジメントのマネジングパートナー、ジーン・マンスター氏は、テスラの第4四半期納車台数について、「この数字は全くのワイルドカードだ」と指摘した。マンスター氏は、マスク氏が政治的に左寄りの消費者から距離を置き、EVを購入していないトランプ氏の支持者を受け入れていることに警戒感を抱いている。
マスク氏はこれまで、2025年について明るい見通しを示している。24年7-9月(第3四半期)決算を公表した10月時点で、来年の納車台数は20-30%増える可能性があるとしていた。