牛肉の”来歴”追う ネットで検索 農家に会ってみた
トレーサビリティーがあることで、万が一食品で健康に影響を与える事故などがあった場合に、問題のある食品がどこから来たのか、どこに行ったのかを調べてすぐに対応できるようになる。また、消費者が生産履歴を確認するためにも使える。 牛のトレーサビリティー制度は、01年に発生した牛海綿状脳症(BSE)のまん延防止へ03年から運用をスタート。両耳の耳標やパックのラベルに記載の10桁の個体識別番号から生産履歴が確認できる。 農水省によると「家畜共済や動産の担保にも利用されており、消費者がブランド牛の来歴を確認する上でも使える」(畜水産安全管理課)。米でも08年に発生した農薬やかび毒に汚染された事故米の不正転売問題を受けて、取り組みが始まった。
<取材後記>
何気なく買った牛肉の生産履歴が事細かに分かる。農家や関係者の努力でトレーサビリティーが確立していることが、国産牛への信頼や和牛のブランドを守ることに大きく貢献していると実感した。誰でも調べられるので試してみてほしい。どこで誰が育てたのか。知って食べるとより安心できる。 肥育も繁殖も、飼料の高騰で生産環境は悪化している。取材で聞いた「餌の価格の高騰分を肉に反映すれば需要が落ちる。子牛と枝肉の価格の安定へ、まずは餌の価格を安定させてほしい」(浅野さん)という言葉が印象的だ。今回記者が食べたおいしい牛肉も元は飼料。国産化や安定供給に資する取り組みの取材に力を入れたい。(小林千哲)
日本農業新聞