阪神日本一、スカウト部は「もう一つのMVP」称えられるべき独自の戦略とは
文句なしの選出と言ってもよいでしょう。 2023年の「ユーキャン新語・流行語大賞」が発表され、年間大賞は今シーズンの日本一に輝いた阪神・岡田彰布監督が、優勝を示した「アレ(A.R.E.)」に決まりました。 日本一の要因については各メディアで様々な考察がなされていますが、あるスポーツ紙のデスクはこう断言します。 「阪神のスカウト部こそ『もう一つのMVP』ですよ。独自の戦略のもと、信念を持って、チームに必要な選手を獲得して、それが日本一の原動力になりましたからね」 そして、その功績を以下の2つの通り、語るのです。 (1)メディアの雑音を気にしない 阪神は人気球団ゆえに注目度も高く、ドラフト指名についても「外野」の声は例年、大きいもの。特に1位指名は甲子園のスターといった「有名人」を欲する傾向があり、「名より実」の選手を獲得した場合、思わぬ批判にさらされる時もあります。 しかし、阪神のスカウト部はブレませんでした。 「2016年は創価大の田中正義投手が5球団競合となり、高校生も作新学院の今井達也投手、横浜の藤平尚真投手、履正社の寺島成輝投手ら逸材がズラリでした。そんな中、阪神の1位指名は白鷗大の大山悠輔選手。注目度がそれほど高くない関甲新学生リーグの選手ということもあり、散々な言われようで、ドラフト専門誌の採点が『55点』の超辛口だったことは今でも語りぐさです」 「2018年もそうです。阪神は1位で大阪桐蔭・藤原恭大外野手、立命館大・辰己涼介外野手を抽選で外した後、外れ外れ1位で大阪ガス・近本光司外野手を獲得します。これには前述のドラフト専門誌が『50点』と低評価したものです。小粒な大卒社会人に映ったかもしれませんが、近本がいなかったら今年の日本一はなかったともいえます。信念のスカウティングは実った形です」 (2)独立リーグも「いいものはいい」 今秋のドラフト会議では育成も含めて独立リーグからNPBへ史上最多の23人が指名されました。 阪神は早い段階から独立リーガーを果敢に指名して、戦力へとしてきたのです。 「阪神は2018年のドラフト6位でBC富山から湯浅京己投手、2020年のドラフト8位で四国IL高知から石井大智投手を獲得しました。二人の入団後の活躍についてはここに記すまでもないでしょう。そして今秋ドラフトでも四国IL徳島からMAX159キロの剛腕・椎葉剛投手を獲得しました。バックグランドにかかわらず『いいものはいい』と見定められるのも、スカウトが自身の眼力を信じているからです」 現場と編成がそれぞれ持ち場で全力を尽くして、勝ち取った日本一。連覇を狙う2024シーズンも強い猛虎が見られそうです。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]