【闘病】やっぱり遺伝していた「アンチトロンビン欠乏症」それでも妊娠・出産を乗り越えられた理由
遺伝性疾患の一つである「アンチトロンビン欠乏症」は、見た目ではわからず自覚症状もない疾患です。しかし、妊娠時や手術の際に高いリスクを伴う疾患であり、適切な治療を行う必要があります。今回お話を聞いた悠里さんは、ご家族にもアンチトロンビン欠乏症の方がいたため、念のために検査を受けたところ発覚しました。その時、悠里さんは第一子を妊娠していました。そこで悠里さんに、アンチトロンビン欠乏症の治療と妊娠出産、その後の治療についてお話を聞きました。 ※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2023年10月取材。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
アンチトロンビン欠乏症は1/2の確率で遺伝する
編集部: 悠里さんの抱えているアンチトロンビン欠乏症とはどのような疾患なのでしょうか? 悠里さん: アンチトロンビン欠乏症は血液凝固制御因子である「アンチトロンビン」という物質の生成が少なく、血が固まりやすくなる疾患です。アンチトロンビン欠乏症になると、血栓症の発症リスクが高まり四肢末端の壊死、紫斑、発熱、腎不全、ショック症状、脳梗塞・脳出血、硝子体出血などを起こすリスクがあるようです。私のように女性の場合、習慣流産を起こしやすくなる点も警戒しなければなりません。 編集部: 病気が判明したきっかけは何でしたか? 悠里さん: 母親もアンチトロンビン欠乏症で、2分の1の確率で子どもに遺伝すると言われました。2020年2月に第一子を妊娠した際、「妊娠中にこの病気は厄介になる」と聞いていたので検査を行ったところ判明しました。 編集部: 病気が判明した時は不安もあったのではないでしょうか? 悠里さん: 遺伝してしまう可能性があると前もって聞いていたので、自分の中では「おそらく遺伝してる」と考えていました。そして予想通り「アンチトロンビン欠乏症」と診断されたので、へこむことはなく比較的ポジティブに捉えられていました。病院の先生からも「大変な治療なのに前向きでへこまないのが素晴らしい」と褒められましたね。 編集部: 発症後に行った治療についても教えていただけますか? 悠里さん: 第一子妊娠の際は、2020年3月から6月まで血液凝固機能を正常に戻す目的でアンチトロンビンⅢ製剤のノイアートの点滴を週2回行いました。ほかには、11月の出産1週間前まで血液凝固を抑えるヘパリンカルシウムを1日2回皮下注射していました。現在第二子を妊娠していますが、同じ治療を行っています。そして、妊娠37週目に入院してヘパリンカルシウム皮下注射を中止し、同じ成分の24時間持続型点滴に切り替え、38週目に無事出産に至りました。出産後もワーファリンを内服して血液凝固が進まないように治療を行いました。