新米高騰で大盛りメニュー「困った」 飲食店やスーパーに打撃 長野県中信地域
新米の価格が値上がりし、一般の家庭はもちろん、飲食店やスーパーも打撃を受けている。「お客さんにおなかいっぱい食べてほしい」とご飯の盛りのよさを売りにしている長野県中信地域の店は、近年の物価高に米の高騰が加わり、苦しい経営を迫られている。 ご飯の大盛りが通常料金で食べられ、信州大学の学生らに人気の飲食店「デカ盛りの店でんでん」(松本市浅間温泉1)は毎週、安曇野市の農家から米120キロを購入している。価格は8月まで3万円だったが、9月からは5万円に値上がりした。農家からは「資材の価格高騰などで値上げは避けられない」と説明を受けた。 店を営む傳田怜時さん(40)は、あまりの高騰に別の農家や店からの購入を検討したが、今取引している農家が一番安かった。「量は減らさず、添えていたマヨネーズをやめるなど、少しでも何とかしたい」と話す。 多くの食材が値上がりして経営が苦しくなってきているが、メニューの値上げは今のところ考えていない。「食べることが好きで始めた店。好きなメニューをお客さんが共感してくれて、こんなうれしいことはない。継続するために違うことをやっていかないといけないのか」と悩む。 個人経営のスーパーで総菜が人気の「魚万汲田」(松本市城東1)も、米の値上がりに苦慮している。手作りおにぎりは10月1日から150円の商品を180円に、130円の商品を150円に値上げした。夫と店を営む汲田順子さん(75)は「のりも高くなり、仕方なかった」とこぼす。 昼食時に販売する弁当バイキング(700円)は、ご飯を大盛りにしても値段は変わらない。2月に容器の値上がりで500円から200円値上げしたため、価格を変えるつもりはない。だが「猛暑で大盛りにする人が少なかったからよかったが、秋になって増えたらやっていけるかな」と心配している。
市民タイムス