ドラフト“史上最多”6人指名の富士大「唯一の指名漏れ」選手のもとに訪れたのは? 指名選手だけじゃない…2024年《運命のドラフト会議》その後の物語
今年も大きな盛り上がりを見せたプロ野球のドラフト会議。だが、当然ながら会議後も選手やスカウトたちの人生は続いていく。緊張の大舞台を終えた表裏の主役たちの“その後”を追った。《全2回の1回目/つづきを読む》 【貴重写真】「史上最多」“6人指名”の富士大、たった1人の指名漏れ選手の表情は…「まるで俳優…“母ソックリ?”な清原正吾」「弟は父・和博に似てる? 比較写真」ドラフト後の悲喜こもごもを一気に見る 「2024ドラフト会議」から二夜明けた10月26日。 福島・いわきの土曜日の朝は、身に染みるような冷たい空気の中で明けた。常磐線・いわき駅から車で20分ほど。山をきり拓いた広大な運動公園にある「ヨークいわきスタジアム」。仙台大学と富士大学の一戦が行われる。 東北の3つの大学リーグの優勝校が集結して、11月20日から行われる「明治神宮大会」への出場権を競う。
富士大は1チームから6人…過去最多指名
2日前のドラフト会議で、仙台大は相原雄太投手(伊奈学園総合)がソフトバンクから育成8位で、一方の富士大はなんと6人の選手(下記)が指名され、みんなが驚いた。1回のドラフト会議で1つのチームから指名された人数では、過去最多だった。 ■オリックス1位 麦谷祐介・外野手・大崎中央高 ■広島2位 佐藤柳之介・投手・宮城東陵高 ■ソフトバンク3位 安徳駿・投手・久留米商業高 ■広島4位 渡邉悠斗・内野手・堀越高 ■巨人育成1位 坂本達也・捕手・博多工業高 ■ロッテ育成3位 長島幸佑・投手・佐野日大高 高校時代の「プロ注」もいない、甲子園球児もいない。 北国・花巻の地で4年間人知れず自身を鍛え込んできた、たたき上げばかりの「6人」である。 この日、ヨークいわきスタジアムのネット裏には複数のスカウトたちが足を運んでいた。いずれも指名した選手たちの担当スカウトたちである。彼らの「目的」の中に、選手たちに対する評価はすでにもうない。 評価をして決断して、球団に指名を推した選手たちだからである。ドラフトから2日経ったこの日の目的は2つ。1つは、選手が故障なく無事に試合を終えることの確認。そしてもう1つは、本人と監督への指名あいさつである。 試合後、指名選手たちのプレーぶりを見届けたスカウトたちが、関係者入り口で、監督・選手たちの「出待ち」である。 推した選手を指名でき、その選手たちが今日をケガなく過ごしたことに、スカウトたちも一様に安堵の表情である。そして、監督・指名選手とのつかの間の対面。勝ち上がってまだ公式戦を残す富士大の監督・選手に対しては、立ち話で数分間。型通りの「あいさつ」だが、その場にいるみんなが笑っている。心から笑っている。 「よかったです。とりあえず、今日が何ごともなくて。前はいましたから、指名されてからケガしたのが。でも、『加減してやれ』とも言えないし。明日もありますから、もう1日、しっかり見届けて……」 即戦力左腕・佐藤柳之介、屈強・頑健なスラッガー・渡邉悠斗。2人を指名して担当になった広島の近藤芳久スカウトも、「やれやれ」である。 その渡邉選手には、ご家族もやって来ていた。スポーツマンのお父さん、控えめなお母さんに、かわいい妹さん。 福島のいわきなど、まだ近いほうだ。リーグ戦が岩手や青森の球場の時でも、はるばる福生(東京都)から、車を飛ばしていらっしゃっていた。家族ぐるみの「指名獲得」である。 「ありがとうございました。ありがとうございました。おかげさまで指名されて……もう、本当にありがとうございました!」 家族念願のドラフト指名、プロ野球入りに、ほかに言葉もないだろう。
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