「認知症の人への丁寧な指示はときに逆効果になる」と理学療法士が断言するワケ。言いすぎない・伝えすぎない<省エネ介護>でスムーズに
◆言いすぎない、伝えすぎない 細かくていねいに伝えるほど理解が深まるというのは、私たちの常識です。 ところが、認知症の人には、それが足かせになってしまうことがあります。 言いすぎない、伝えすぎない。 とくに、運動をともなう指示の場合は、それが鉄則です。
◆絶対に削ってはいけない言葉とは でも考えてみれば、これは、介護をする側にとってもメリットしかありません。 なんとか伝えようとして言葉を尽くし、ますます伝わらなくなって、イライラしてしまうのに、正解は、「伝えすぎない」ことなんですから。 最小限のコミュニケーションで、最大の効果を得る。 これぞまさに「省エネ介護」ですよね。 ただし、絶対に削ってはいけない言葉もあります。 それはやっぱり、「ありがとう」「助かったよ」などの感謝の言葉です。 たとえば、立ってくれたときに「ありがとう、じゃあ行こうか」と言って手招きをすれば、感謝されたから次の動作に移れるという状況になります。 そして「こうやればいいのね」と理解がきちんと通じるので、本人の安心にもつながります。 ※本稿は、『ボケ、のち晴れ 認知症の人とうまいこと生きるコツ』(アスコム)の一部を再編集したものです。
川畑智,中川いさみ