江原啓之「娘の夫に借金があるとわかった。親として手を差し伸べる?放置する?どちらが〈幸せぐせ〉か」
◆親の願いは子が自ら人生を切り拓くこと ただし自力ではどうにもならず、夫婦仲も険悪になって離婚となれば、娘は他人からまた身内に戻るのですから、「帰っていらっしゃい」と迎えるにやぶさかではありません。お金もなく、仕事や住まいを探さなければならないのなら、親ができる範囲で、自立のための援助をしてあげるのもよいでしょう。娘が離婚するのは世間体が悪い、離婚を避けるためには援助したほうがよいと考える方もいるかもしれませんが、今の時代、離婚は珍しくなく、悪いことでもありません。親の価値観を押しつけないことが大事です。 また、ある程度お金がある家庭なら、離婚するまで何も手助けしないなんて、親として冷たいと思うかもしれませんね。でもAのように立て替えていたら、「親は助けてくれるものだ」と、甘える心が出てくるはずです。親のお金は親のもの。子どもがあてにしてはいけません。親の願いは子どもの幸せであり、それは何かといえば、子どもが自ら人生を切り拓くこと。いつまでも親に依存しているのは不幸です。「借金がかさんだら破産しても仕方ない。苦労するのも人生。安易に親に頼ればいいと思ってはいけない」という厳しさを教えることこそ、親の愛です。 たとえ借金の額が小額でも出してはいけません。なぜなら、娘の夫がろくでもない男だとしたら、今後も借金が膨らむ可能性大だから。立て替えたお金は無駄銭になります。一方で、娘夫婦がちゃんと返済計画を立てやりくりできていて、夫婦仲もいいのなら、親がしゃしゃり出ないこと。かわいそうと思わず、放っておきましょう。
◆自分で落とし前をつける 多くの人は、借金の額より、その理由によって助けてあげたいと思うのかもしれませんね。ギャンブルによる借金なら論外だけれど、義理の息子の勤め先が倒産した、急にリストラされた、あるいは起業したもののうまくいかず、家計が大変で仕方なく借金したとしたらーーーー。支えたいと思うこともあるでしょう。 厳しいようですが、どんな理由があっても借金をすること自体、自律できていない証拠です。つまり、借金をする前に打てる手がいろいろあったはずだということ。勤め先が経営不振だったのなら倒産する前に転職する。自分の事業がうまくいかないなら、手腕がないと自覚して早めに会社をたたむ。そんな会社に入ったことも、起業したことも、自らが選んだ道。因果の法則なのですから、自分で落とし前をつけるべきでしょう。 ただし生活苦にあえぐほどの困窮状態なら、当座の生活費の足しとして数万円程度のサポートはしてもいいと思います。「親ができるのはこれが精一杯。ごめんね」と伝え、借金の肩代わりはできないとわからせておくこと。親には頼れない、ちゃんと自分たちで問題に向き合わなければいけないと自覚させることが大事です。 今回は義理の息子の借金をテーマにお話ししましたが、もし実の子の借金だったらどうするべきか。その場合でも、子どもの自己責任です。たとえ離婚しても親は援助しないのが子どものため。債務整理して自力で生活を立て直すのを、親はシビアに見守りましょう。親も子も、自らを律してこその幸せです。 (構成=やしまみき)
江原啓之