政治家の“公約違反”罰則ない理由 「手のひら返し」「うそつき」有権者から批判も…背景に“憲法上の要請”【衆院選】
選択的夫婦別姓「賛成」の自民党議員が国会では「反対」する理由
政党に所属している議員には、国会だけでなく、政党内でも妥協せざるを得ない場面があるという。 「たとえば選択的夫婦別姓に賛成の立場をとっている与党の議員が、野党の提出した民法改正案になぜ乗らないのか。夫婦同姓が党としての方針である場合、それに反する行動については、政党内において処分がされることで、その後の自身の発言権がなくなってしまうことを考えることによるものです」(三葛弁護士) 石破首相も就任前は選択的夫婦別姓について「やらない理由がわからない」などと発言していたものの、就任後は一転。自身の立場を示すことに消極的になり、12日の党首討論会では、党議拘束を外すことにも慎重な姿勢を見せていた。 「実際のところ、党内議論では政党の立場に対してかなり厳しい意見を言う議員も少なくありません。 国論を二分するような大激論がなされることも珍しくありませんが、徹底的に議論をした後に結論が出た場合には、それに従うということが政党人として求められることとなり、時には選挙の時点において自らの『公約』としていた内容に反する行動(国会での議決など)を行うこともあります。そして、そうした行動に対しては『全国民の代表』であるという憲法上の要請に反するという批判もなされます」(同前)
立候補者が「きちんと公約を守るか」判断基準は?
ひとたび当選してしまえば、“本音”がなかなか見えてこない――。では、自分が1票を託す立候補者がきちんと公約を守るのか、どう判断すればよいのだろうか。 「今は選挙期間中なので、たとえば所属政党の立場と違うことを公約に掲げている立候補者がいたら、直接聞いてみるのもひとつの方法です。 国会議員を経験したことがある立候補者であれば、これまでの行動や公約を守ってきたかどうかの実績を確認することもいいでしょう。また、公約を守らなかったと判断される場合においては、それをどのように説明してきたか、という点も重視できます。そうした際には、メディアの報道も参考になります。 事後検証が可能であることを重視した、いわゆる『マニフェスト』について、国政の場においてはあまり触れられなくなっていますが、こうした発想を有権者の側が持つことも必要です」(三葛弁護士)