ホテル仕込みの街中華を絶やしてはならぬ…昨秋閉店した「麺丼亭」、同業ファンがレシピ受け継ぎ復活
鹿児島市新屋敷町で23年間営業し、昨年9月末に閉店した中華料理屋「麺丼亭」が12月から、同業有志の協力で新装開店した。元店主安田充秀さん(70)の年齢を理由に店じまいしたが、同市中央町で別の中華料理屋を営む上栗健志さん(44)が「味を絶やしたくない」と後継ぎに名乗りを上げた。閉店から3カ月。レシピを引き継ぎ、以前と変わらないメニューで復活を果たした。 【写真】復活した麺丼亭の料理を味わう、かつての常連客
麺丼亭は2001年、城山観光ホテル(現城山ホテル鹿児島)の北京料理シェフだった安田さんが独立開業。ホテル仕込みの本格中華が手頃な価格で味わえるとあって、サラリーマンや地元住民に愛されていた。 上栗さんは23年10月に、同市中央町で「中華大飯店」を開店。安田さんと面識はなかったが、麺丼亭の味を求めて、客として何度も足を運んでいたという。 経営が軌道に乗り始めた昨年8月、交流サイト(SNS)で突然、麺丼亭の閉店を知った。同月中旬に店へ赴き、思い切って「麺丼亭を継がせてください。味もそのままがいいんです」と安田さんに直談判した。 開店に向け、中華大飯店の元従業員1人のほか3人を新規採用。約3カ月かけて、安田さんが牛肉の炊き方やスープの調合など調理方法を伝授した。安田さんは「私の味をそのまま再現したいという熱意と覚悟が伝わり、感動した。地域でずっと愛され続ける店になってほしい」と話す。
かつての常連客も喜んでいる。創業以来23年間通い続けた、近くの主婦大山ちえ子さん(86)は「麺丼亭のちゃんぽんが大好き。まさかまた食べられるなんて思ってもいなかった」と笑顔を見せた。 営業時間は午前11時~午後2時、同5時半~9時。水曜休み。
南日本新聞 | 鹿児島