年収の壁巡り与野党応酬 自民、財源明示要求 国民民主は予算材料にけん制
与野党の政策責任者は22日、NHKの討論番組に出演し、所得税が生じる年収ライン「103万円の壁」見直しを巡って応酬を繰り広げた。 【ひと目でわかる】「壁」見直しが配偶者特別控除にも影響? 自民党の小野寺五典政調会長は国民民主党に対し、主張通り178万円に引き上げるための財源を明示するよう要求。国民民主の浜口誠政調会長は消費活性化などで税収増が見込めると反論し、与党が123万円の提案から譲歩しなければ2025年度予算への反対もあり得るとけん制した。 「103万円の壁」を巡っては、自民、公明、国民民主3党の税制調査会長の協議が一時暗礁に乗り上げたが、3党幹事長が協議継続を確認し、24日にも再開される見通しとなっている。 小野寺氏は、178万円に引き上げたとしても非課税世帯に恩恵は及ばないと指摘。さらに7兆~8兆円の税収減が見込まれるとの試算を示し、「大きな予算の欠損が出てくる。何で穴埋めするのか提案してほしい」と求めた。 これに対し、浜口氏は「(所得税などを納めている)現役世代が一番苦しい」と強調。178万円引き上げが実現すれば「法人税の税収増につながる。消費税収も増える」と財源はまかなえると力説し、「(123万円では)全く話にならない。新しい提案をお願いしたい」と述べた。 納得のいく回答を最終的に得られなければ「25年度予算へのスタンスも考えざるを得ない」と語った。公明の岡本三成政調会長は「安定的に継続できる形を一日も早く目指したい」と訴えた。 一方、立憲民主党の重徳和彦政調会長は社会保険料負担が生じる「130万円の壁」見直しを目指す方針を強調。25年度予算案への対応に関し「修正案を提出するのか、組み替え動議を出すのか、戦略的に考えていきたい」と語った。 日本維新の会の青柳仁士政調会長は「103万円の壁の突破には大賛成。(維新、国民民主の)両党でやった方が実現の可能性が高まる」と述べ、国民民主に維新との連携を呼び掛けた。 共産党の山添拓政策委員長は「課税最低限引き上げでは不十分だ」として消費税減税を主張。れいわ新選組の高井崇志幹事長は103万円を300万円に引き上げるよう求めた。