雑居ビルの銭湯にも…“日本一のシャッター商店街” 復活への切り札は『廃墟ツアー』で逆手に取った町おこし
■夜の歓楽街復活へ…切り札は“廃墟ツアー”
西柳ケ瀬に再びネオンの灯をともそうと、商店街の小澤さんら有志が立ち上がった。ディープな商店街であることをアピールしようと「奥柳ケ瀬」という新たなワードを生み出した。 スタープレイス柳ケ瀬商店街の小澤達雄理事長: 独特な商店街なので、ちょっと“奥柳(おくやな)”という名称を使ってですね、何かやらないかと。「それいいですね」ということで。 9月に行われたイベントは「奥柳ケ瀬夜市」と名付けられ、キッチンカーやご当地アイドルのステージなどに人だかりができていた。開催費用の一部はクラウドファンディングで募集し、目標の100万円を超える122万円が集まった。 「奥柳ケ瀬」の名をアピールしようと行われたのが、「日本一のシャッター商店街」を逆手にとった“廃墟ツアー”だ。 廃墟となったビルのシャッターを開け、スナックや銭湯があった跡を、懐中電灯の明かりを頼りに進んでいく。 狭い入口をくぐりぬけ、銭湯の裏側に潜入すると、大きなボイラーが残されたままだった。 「廃墟ツアー」は、岐阜のまちおこしを目指す会社「カンダまちおこし」の代表、田代達生さん(48)が企画した。西柳ケ瀬には懐かしい昭和の味わいを残す、雑居ビルや細い路地が多く残されていて、観光資源としての魅力があるという。 「カンダまちおこし」の代表 田代達生さん: この建物の裏側なんか見ていただくと、かなり朽ち始めていて、今見ておかないとこれは見納めかなという風景があるので、だからこそ今見ておきたい。記憶に焼き付けておきたいものじゃないかなと思って。 「昭和の遺産」が満載の、自虐的ともいえる廃墟ツアーだが、資金不足に悩む商店街にもメリットがある。 「カンダまちおこし」の代表 田代達生さん: この廃墟ツアーはお金がかからずできちゃうので。今あるものそのままが観光資源になりますので、初期投資0円でツアーが組めるというのも1つのあり方だと思って、今の柳ケ瀬においては、結構合ってるんじゃないかと思っています。 廃墟ツアーには40人が参加し、閉店したキャバレーではミラーボールやタバコの吸い殻が残されたままの灰皿など、当時のままの姿を思い思いに探索した。 ツアーのしめくくりには、“バブルの置き土産”アーケードのネオンが点灯された。一夜限りの復活だが、ピンクや青、緑と怪しげに光るネオンは、参加した若者に新鮮に映ったようだ。 参加した女性: ネオンが気になって申し込みました。時が止まっているような、昔ながらの雰囲気を一緒に楽しめた。 参加した男性: 全国的にもここしかないみたいな光り方してるみたいなので、本当に貴重な物を見られてうれしいです。 スタープレイス柳ケ瀬商店街の小澤達雄理事長: 感激しました。コロナ以降全く点灯していなかったので感慨深いです。この町は何かある、怪しい感じがするけど、楽しい町やなというのを思って頂けたらありがたいですね。