繰下げ受給予定だった67歳の妻。夫を亡くしたら年金はどうなる?
会社員として厚生年金に20年加入し、また、第3号被保険者として20年扶養に入っていた女性・Aさん(67歳)。老齢基礎年金、老齢厚生年金といった老齢年金を70歳から繰下げ受給するつもりでした。 しかし、67歳になった月に、すでにこれらの年金を受給していた夫・Bさんが68歳で亡くなりました。現役時代40年会社員だったBさんの死亡によって、Aさんは遺族厚生年金も受給できることになりそうですが、その場合、Aさんはこれから老齢年金を含め、どのような形で受給することになるのでしょうか。
繰下げ受給による増額
65歳からの老齢年金(老齢基礎年金や老齢厚生年金)には、65歳から受給せず、繰下げ受給する方法があります。66歳0ヶ月以降1ヶ月単位で繰り下げが可能で、1ヶ月繰り下げるごとに0.7%増額ができ、最大75歳まで繰り下げが可能です。 70歳繰り下げなら42%増額、75歳繰り下げなら84%増額という計算になります。Aさんは65歳からは受給しておらず、老齢基礎年金も老齢厚生年金も70歳に向けて繰り下げ待機をしていたことになります。
夫死亡による遺族厚生年金は差額支給
そんななか、Aさんが67歳になった月に夫・Bさんが他界しました。Bさんの死亡当時、妻であるAさんがBさんに生計を維持されていた場合、Aさんは遺族厚生年金を受給できます。 その遺族厚生年金は「死亡した夫の老齢厚生年金(報酬比例部分)×4分の3相当」(ア)、あるいは「死亡した夫の老齢厚生年金(報酬比例部分)×4分の3×3分の2と妻自身の老齢厚生年金の2分の1の合計」(イ)、いずれか高い額で計算されます。 ただし、その金額がそのまま受け取れるわけではありません。65歳以上であれば遺族厚生年金は老齢年金と併せて受給することが可能になっていますが、【図表1】のとおり、本来の遺族厚生年金(先述の(ア)あるいは(イ))からAさんの老齢厚生年金相当額を差し引いた額での支給となります。
つまり、Aさん自身の老齢基礎年金、老齢厚生年金をまず受給し、そのうえで差額支給となる遺族厚生年金を受給することになります。