なぜ若手社員は突然辞めるのか? Z世代45万人のデータから分析したマネジメント方法論
ゲーテ読者に薦めたいとっておきの1冊をピックアップ! 今回は小栗隆志の『Z世代の社員マネジメント』をご紹介。
45万人のデータから鮮やかに読み解く、Z世代の離職とモチベーション低下の真実とは
探し求めていた枕にようやく出合えたような感覚と言えばいいだろうか。捉えどころのなかったZ世代の実相がすっぽりと頭に収まっていく、そんな読書体験だった。 「なぜ若手社員は突然辞めるのか」「戦力として定着しないのか」といった企業課題をZ世代の深層心理から分析し、うまくマネジメントする方法論が、本書にはぎっしり詰めこまれている。 なかでも私のページをめくる手を勢いづけたのは、20年にわたり延べ45万人の若手社員から集積したというビッグデータ分析の面白さだ。Z世代はゆとり世代に比べて「決断力」が著しく低いが、ルールに則って行動したり忍耐強く仕事を進めたりする「慎重力」は極めて高い。デジタルネイティブと呼ばれてはいるがPC操作や資料作成スキルは意外にも低いといった点など、データから導きだされる特徴は興味深い。 また言葉遊びに走らず、独自のメソッドを淡々と述べていく著者の筆致には、好感が持てた。 私も毎年約1400人のZ世代の若者を教えているが、共感と発見も多く、たくさんの付箋を貼った。さすがに枕にはできないけれども、常に枕元に置いておいて定期的に読み返したいと思った1冊だ。 『Z世代の社員マネジメント』 小栗隆志 著 日本経済新聞出版 ¥2,200 桝本壮志/Soushi Masumoto 1975年広島県生まれ。放送作家として数々の人気番組を担当。NSC(タレント養成所・吉本総合芸能学院)の講師も務めており、令和ロマンをはじめ、多くの教え子をM-1に輩出している。