【漫画家に聞く】ネトゲで結婚した女性がリアルでは男性でしかもクラスメイトだったら? 熱いラブコメにXで5万いいね
いよいよ夏本番。長期休暇に仲間同士でオンラインゲームに興じる人もいるかもしれない。でも一緒にプレイするネット仲間が性別を偽っていたら――。そんな設定で展開するラブコメ漫画が『ネトゲの性別は詮索NGです!』である。 ネトゲで結婚した女性がリアルでは男性でしかもクラスメイトだったら? 漫画『ネトゲの性別は詮索NGです!』 女性だと思っていた相手が男性で、しかもクラスメートだった。そんな世界観が切り抜かれた短編作品にXで約5万のいいねが集まっている。作者は宝乃あいらんどさん(@i_s_Land)。現在「ガンガンpixiv」で連載(https://comic.pixiv.net/works/10436)されるに至った本作の誕生について作者に語ってもらった。(小池直也) ――ペンネームの由来は? 宝乃あいらんど(以下、宝乃):本名とはまったく関係ないです(笑)。直訳すると「宝島」になるので縁起がいいかなと。割とノリなので深い意味はないですね。苗字で呼ばれることが多いですよ。 ――では本作の反響はいかがですか。 宝乃:本作はもともと昨年「ガンガンONLINE」で公開されたものなんです。最初にツイートした時は5000いいねほど。それから年末に再掲したら約1万、それで今回は4.7万と増えていきました。何度も再掲しているのによく伸びたなと思いますね。ありがたいです。 ――着想についても教えてください。 宝乃:デビュー前にTwitterの4ページ漫画で似た内容を連載していたんですよ。それから「読み切りを描こう」という話になって、担当さんに私からネタを提案しました。私の作品はBLでも性別関係なく読めるものが多いのですが、今回はBL読者に振り切って描いていて、それに伴ってキャラクターを一新しました。 ――主人公の獅子堂礼二、朝倉良悟は具体的なモデルがいたり? 宝乃:完全に私の脳内で生きている何かです(笑)。プロトタイプの作品では、サクラのポジションにあたるキャラは猫耳だったんですよ。でも去年の干支が兎だったので、ウサギキャラになりました。その場の思い付きを採用しがちなんです。 ――実際にネットゲームはされるんですか? 宝乃:同人で描いている頃から「ネカマやネトゲに対する解像度が高い」と言ってもらえることが多かったのですが、実はあまりやらないんですよ。いつか怒られるんじゃないなと思いながら描いてます。 VRには興味があったので『MetaQuest』のゴーグルは購入して試しました。でも酔ってしまうので向いてないなと……。唯一『ファイナルファンタジーXIV』だけは漫画を描く上で参考にしたかったので、友達とクエストをやったりはしました。 ――ストーリーなどのこだわりについて。 宝乃:描きたいのはギャップ。ネトゲは現実と切り離して遊ぶ人が多いみたいなので、リアルとの対比を出しやすいかなと感じてます。あとはキャラが読者から必要以上に嫌われないようなセリフ回しを心掛けています。できるだけポジティブな気持ちで読み終わってもらえたら嬉しいなと。 ――作画についてこだわった点もあれば教えてください。 宝乃:ヒロインは可愛くしたいので、アップの場面などは力を込めてます。でも基本は話を作りたい性格なんだと思いますね。絵はあまり得意ではないので作画を別の方に頼めたらいいなと思うこともありますが、現状あてがないので自分で何とかできるよう精進していきます。なるべくイケメンと美女が描けるようになりたいです。 ――本作は現在、連載作品となっています。こちらは短編版とどのような違いが? 宝乃:読切作品と設定や関係性は大きく変えないようにしていますが、細かいところは調整しています。執事がイケメンになってたり(笑)、細かい演出を詰めました。最初は短い話数で完結できるように考えていましたが、関係性をじっくり描く方針に変えたので普通のBLよりも進行が遅いと思います。ゆっくり見守っていただけると嬉しいですね。 ――憧れ、影響を受けた作品や作家はいますか? 宝乃:『アイドルマスターSideM』が好きなんですよ。漫画に直接的な影響があったわけではありませんが、この作品は別の職から転身したアイドルを応援するという内容なので、会社員から一度諦めた漫画家を目指そうとしていた自分にとって感情移入がしやすく、辛かった時期を一緒に歩んで支えてくれたコンテンツ。私もだれかの心を支えられるような作品を作っていきたいと思います。 ――作家としての展望、なりたい作家像を教えてください。 宝乃:「勢いで描く」ということができない気はしています。ゆったり長く描き続けられる作家になりたいですね。
小池直也