「まるで山口組」自民党安倍派議員に課せられていた「パー券ノルマ」…閣僚経験者が漏らした衝撃の内情
「戻し」「バック」 自民党の最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)。所属議員の役職や当選回数に応じて政治資金パーティー券の販売ノルマが設定され、超過分はキックバックされ、還流された分をそう呼んでいたという。 【こりゃ、ダメよ…写真あり】「Zzz……」岸田首相の答弁中に自民党大幹部5人が「ぐっすり睡眠」爆睡写真…! 安倍派の参議院議員には選挙のある年はノルマが無くなるという独自のルールがあるが、衆議院議員には選挙の年でも割り当てがあり、少なくない議員を苦しめていたようだ。 総額5億円超ともいわれる還流については、「戻しがあったのはごく一部の議員」と前置きし、匿名を条件に中堅議員はこう話す。 「塩谷座長から『◯◯枚お願いします』と電話が来て、一方的に告げられるだけ。直近の3年はコロナでノルマが半分となり、比較的ラクでしたが、毎年ノルマが達成できずに持ち出しばかり。上限額は、安倍さんや細田さんのような会長経験者は1千万円、下は一回生で、60万円といわれています。 ゼネコンやパチンコ業界と昵懇の議員ならまだしも、なかなかさばけないのが実情です。途中で清和会を抜けた閣僚経験者も『500万円に一回も届かなくて持ち出しばかりだった』と漏らしていた」 会長経験者の上納額は1千万と高額に思えるが、 「派閥領袖となれば、権力を握り、人もカネも寄ってくる。官房長官や幹事長になれば機密費や自民党内のカネを拔ける」 という。一方で地方選出の平議員には人もカネも寄って来ず、地方都市で港区のホテルで開催されるパーティー券販売のあては限られていたようだ。「毎年、身銭を切っていた」との声がいくつか聞こえてきた。 取材を進めると誤差はあるだろうが、設定されたノルマについては以下のような数字となりそうだ。 会長経験者 1千万円 座長、最高顧問 750万円 閣僚経験者 500万円、600万円 一般の議員 60万円から約200万円 ノルマを超えて販売した「戻し」分は、派閥から報奨金のような形で還元される運用がなされてきた。この「戻し」は他派閥でもあったが、安倍派が東京地検特捜部の捜査対象となっているのは、派閥と議員双方の収支報告書に不記載であったからだ。 記載がされていないために使途は一切わからない。政治資金の透明化に反すこととして政治資金規正法違反(不記載・虚偽記載)として立件も視野にいれて現在、捜査が行われている。 「派閥側から『政策活動費だから政治団体の収入には書かなくていい』と記載を止められていました。ノルマが厳しいので余った分は出世してノルマが上がったときのため、として事務所で保管していた。『戻し』については裏金と言われますが、次のノルマのための貯金というのが本音です」(同議員) 厳しいノルマについて東京都連所属の国会議員はこうこぼす。 「派閥パー券のノルマ以外にも、東京都選出の国会議員には東京都連のパー券も200万円分、国会議員とは関係ない都議団のパー券100万分も押し付けられてくる。支援団体や支持者も浮き沈みがあり、毎回買ってくれるわけではない」 大なり小なり不平不満は溜まっているのであろう。 12 月13日、国会内で宮沢博行前防衛副大臣は「派閥から記載しなくてよいと指示された」「派閥の方から『しゃべるな』と」などと派閥ぐるみの隠蔽工作の一端を公の場で初めて口にした。 この告白は99人の最大派閥が崩壊していく序章となりそうだ。正しい比較ではないが、と前置きし、前述の議員がこう話す。 「昭和の時代なら親分が違法スレスレにカネを集めて、子分に配っていた。いまの清和会は子分たちから搾り取るような運用方法で、『(傘下の組に厳しい上納金を課していることで知られる)山口組か』とこぼし合っています」 臨時国会閉会後、東京地検特捜部は全国から経験豊かな応援検事と事務方を集め50組体制で、議員からも事情聴取を実施。その前から安倍派の会計担当職員や秘書らを対象とした捜査を進めていた。「戻し」のスキーム作成に関わったのは、森喜朗元総理(86)と目されている。 「森さんは9月に自宅で転んで負傷し、背骨を圧迫骨折し、入院。腎機能も低下し、外出時には車椅子となった。夫人も視力が衰え、11月に2人で都心の老人ホームに移った。親しい人に向けて、終活に入ったから、昔のように会えなくなり寂しい、という内容の手紙を送ったようです。 ただ、高級老人ホームで、部外者はシャットアウトしますが、入居者は出入り自由。12月5日にはバレスホテル内の高級日本料理店で、翌6日には新橋の高級ステーキ店で会食をし、12月11日は歌手の谷村新司さんのお別れ会に車椅子でやってきた。 引退後も派閥運営に口を挟み、安倍さんが亡くなった後はさらに影響力を示していた。東京五輪の組織委員会会長で、スポンサー企業から200万の見舞金をもらいながら、五輪汚職事件で何人も逮捕者を出す中、逃げ切った。今回もまた自分だけ……」(同議員) 安倍派内で「戻し」の多い議員らは特捜部から任意の事情聴取を受けている。森氏がこのタイミングで老人ホームに入ったことは偶然なのだろうか。 取材・文・PHOTO:岩崎 大輔
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