東京から「移住」の企業が打ち出すスキンケア商品 苦境に立たされる被災地・珠洲の一次産業に一筋の光
地震で非常に大きな被害を受けたコメ農家も、新ブランドに期待を寄せます。 アステナミネルヴァが開発したヘルスケアブランド・NAIAのフェイスマスクに使われているのは地震で被害を受けた珠洲市の酒蔵の酒粕です。 アステナミネルヴァ・清水雅楽乃社長「能登の酒粕をよく分析してみると非常に糖度が高くて、糖は水分を吸うので肌に染み込むと肌がもっと水分を吸ってくれる。非常に保湿効果が高いということが分かった」 清水社長が訪ねたのは、珠洲市のコメ農家・瀬法司公和さん。 商品に使う酒粕は瀬法司さんのコメから作られています。 能登のコメ農家は地震で苦境に立たされています。輪島市・珠洲市・能登町・穴水町の奥能登2市2町の2024年の作付面積は、2023年の6割程度に留まると見込まれています。 瀬法司さんの田んぼも水路が損傷したほか近くの斜面が崩れ、土砂がなだれ込む被害がありました。 瀬法司公和さん「地震だけでなく、毎年大雪であったり大雨であったり、どうしようもないものはどうしようもないと捉えるようにはしていたけど、今回の場合は被害がものすごく大きかったので、モチベーションも含めてすごく大変だった」 水路の修理と並行して、なんとか今シーズンの田植えを始めた瀬法司さんは、能登発のスキンケアブランドに大きな期待を寄せます。商品を前に瀬法司さんも感慨ひとしおの様子です。 瀬法司公和さん「なんか不思議ですね。自分の作ったコメから自分がキレイになれるものが作れるって…」 地元の産業を守ることにつながる企業との連携に、瀬法司さんは光を見出しています。 瀬法司公和さん「食べたいという人や使いたいという人がいてくれて初めて作れるのが僕たち。色々な形で活用されて喜ばれる商品になっていくというのはやりがいにつながるし、気にかけてもらう機会が増えるのはめちゃくちゃありがたい」 アステナミネルヴァ・清水雅楽乃社長「一次産業の底上げをして、それを別の形に変えていく。生産者の皆様と一緒にできることはやっていき、当社が今作っている商品がもちろん土地に還元できたり、みなさまが作っているもののすばらしさをもっともっといろいろな方に知っていただきたいと考えている」 当初、1月中旬の発売を予定していた「NAIA」は、地震で物流がストップするなどして発売を延期していましたが、4月にクラウドファンディングを行い、ECサイトなどでの一般販売にこぎつけました。県内では能登空港の売店でも販売するなど、地元で使ってもらう展開もしています。 原料となった炭を作る職人や酒粕を手がける酒蔵は、地震の影響ですぐに事業を始めることが難しい状態ですが、アステナミネルヴァではすでに製造していた分をまず販売した上で、生産者や職人と復興に向かって並走しながら商品展開を模索する予定です。
北陸放送