日本一王手のDeNA、不振の牧が値千金のポストシーズン1号3ラン
DeNA7-0ソフトバンク(31日、日本シリーズ第5戦) 頭の中はシンプルだった。1-0の四回。桑原、梶原が内野安打でつなぎ、無死一、二塁で打席を迎えたDeNAの牧は「余計なことは考えず、とにかく強くとらえることを意識していた」という。第4戦までで17打数2安打。不振の主将は初心に戻った。 【写真】四回、左越え3点本塁打を放ちデスターシャポーズを決める牧 ソフトバンクの3番手・前田純の2球目、内角高めの直球をフルスイング。打球は大きな放物線を描きファンが待つ左翼席へ消えた。ポストシーズンで自身初となるアーチは3連勝を引き寄せる値千金の3ラン。跳び上がり、叫び、両拳を握りしめた。 全員で戦っている。試合前、ベンチ外だった知野から「慌てているように見える」と指摘を受けた。故障中の伊藤も連絡をくれ、「すっきりした気持ちで入れた」。状態は万全ではないが、仲間の助言がここぞの一発につながった。 明るいキャラクターの26歳は今季、嫌われ役も買って出た。同学年の山本は今季序盤、全力疾走を怠った際に叱責(しっせき)されたという。「もう見られている立場の人間。しっかりやろうよ」。2連敗を喫した10月27日の第2戦後には、自身の一声でナインを招集。士気を高めて乗り込んだ敵地で3連勝を飾った。 王手をかけ、本拠地・横浜スタジアムに戻る。「油断はできない。今できている自分たちの野球をホームでもできれば」。前回チームが日本一に立った1998年生まれのキャプテンを中心に、DeNAが横浜で歴史を塗り替える。(川峯千尋)