井之脇海「カッコ悪い自分の気持ちは、シュレッダーで切り刻む」 俳優20周年を迎える今と未来
話題のドラマ『9ボーダー』や舞台『ボクの穴、彼の穴。W』、ナレーションなど、幅広いジャンルで活躍する井之脇海さん。9歳から役者としてのキャリアをスタートし、今年11月には29歳に。デビュー20周年も迎える予定です。30代を目前にした心境や結婚観、キャリアに悩む同世代へのアドバイスなどを伺いました。 【画像】撮り下ろし写真(井之脇海)
30代の自分への「プレゼント」を用意して
――今年29歳となりますが、30代を目前に控えることへの意識はありますか? 井之脇海さん(以下、井之脇): ありますね。特に4月期のドラマ『9ボーダー』に出演して、いわゆる“大台”の変わり目を迎える前の最後の年をどう過ごすか、いろいろと考えるようになりました。僕が思ったのは、次の30代の自分に向けて、何かプレゼントをしたいなということ。たとえば、最近英語の勉強を始めたのですが、20代のうちに少しでも英語を習得できれば、30代になったときに自分の行動範囲が広がるかもしれない。この節目を「次の自分へのプレゼント」を用意する時間にできたらと思います。 ――素敵な考え方ですね。年代の節目には、周りと自分の進み具合を感じて焦ったり、自分だけが取り残されるような気持ちを味わったりする人もいます。井之脇さんは、他の人と自分を比較することはありませんか? 井之脇: 同じ年齢の人と比べて何かを焦ることはないです。ただ、いろいろな作品を観ていて「この役を僕が演じてみたかったな」と思うことはあります。もちろん演じている方を否定しているわけではないですよ。たとえば僕は音楽、特にピアノが好きで演奏してきたことを自分の特性のひとつだと思っているんですが、ピアノを弾く役を他の方が演じているのを見ると「自分ならもっと……」とつい悔しく思ってしまうんですよね(笑)。 自分はキャリアが長いし、後輩も増えてきた分、芝居や現場でのあり方を通じて、自分なりに若い世代の方々へ背中を見せられたらと……いや、そうは言っても、芝居ではいまだに苦しむことばかりですね。新進気鋭の若手俳優が一発OKを決めたあと、僕が10テイク目を迎えるとか、ざらにあるので(笑)。 ――そんなときは、どのように気持ちを切り替えていますか? 井之脇: 失敗したときや嫌なことがあったときは、何かの裏紙とかにばーっと自分の気持ちを書いて、シュレッダーにかけるんです。自分の気持ちを書いた紙が、どんどん切り刻まれていくのを見ると、ものすごく気持ちが良いんですよ(笑)。嫌な気持ちが浄化されたようで。あとは、すぐ寝ること。そうやって、マイナスな気持ちは、なるべく次の日に持ち越さないようにしています。