「ママのお腹から生まれたかった」養子縁組で母になった元TBSアナ、真実を知った娘との絆
欧米に比べ、特別養子縁組が浸透していない
国は「子どもは家庭的な環境で養育することが望ましい」という方針のもと、特別養子縁組推進のための環境整備を進めている。だが、2022年度の特別養子縁組成立件数はわずか580件で、前年に比べ100件減少した。 それに対し、なんらかの事情により親元で暮らせない子どもたちは約4万人もいる。この環境で、久保田さんが情報を発信し続ける意義はとても大きい。 「私自身はこの選択肢のおかげで、今本当に幸せです。迷っている方がいらっしゃったら勇気を出して一歩踏み出し、まずは研修を受けてみてほしいなと思います」 欧米に比べ、日本では血縁関係のない他児養子の縁組がなかなか浸透しない。「産んだ者が当然育てるべき」という突き放した自己責任論は、すべての子どもたちが当たり前に安心して暮らす権利を奪いかねない。 多様性が加速する時代、家族のかたちや幸せは家族の数だけ無限にある。久保田さんファミリーの存在が“当たり前”となる日が来ることを願いたい。 久保田智子(くぼた・ともこ)●1977年生まれ。元TBSアナウンサー・TBS NEWSDIG編集長・記者。ドキュメンタリー映画『私の家族』では監督を務めた。TBSを退社し、2024年4月1日付で姫路市教育長に就任。 取材・文/植木淳子 写真/本人提供