任天堂はスイッチ後継機への移行、SIEは独占タイトルの充実…ゲームメーカー2強「異なる課題」
スイッチと全く異なる課題を持つPS5
●「PS5」は性能とコストのバランスが優秀 一方のSIEは、2020年発売のPS5が高まる需要に供給が追い付かず、2年ほど入手難が続きました。この機会損失は痛手で、普及に大きな足止めがかかります。また、転売目的と疑われるオークションサイトへの出品が相次ぎ、消費者心理に悪影響を与えた点も、SIEにとっての逆風でした。 そうした苦難を乗り越え、2023年頃からPS5本体を予約や抽選なしで購入できる状況になりました。円安の影響を受けて段階的な値上げも行われたものの、現状の価格でも同程度の性能を持つゲーミングPCと比べて価格は抑えめで、コストパフォーマンスの良さは、いまも変わることはありません。 またPCとの比較でいえば、拡張性や多機能性で敵わない点はあるものの、統一規格の強みで安定性が保証されています。PCは個々人で環境が細かく変わるため、推奨スペックを満たしていても、エラーやトラブルの可能性は家庭用ゲーム機と比べて高めです。 ●購買意欲に結びつく「独占タイトル」の確保が急務 安定した流通、ゲーミングPCと比べて良好なコスパ、高性能と安定性の適度なバランスと、PS5の強みも明確となりました。そんなPS5とSIEが向き合うべき課題はいくつかありますが、ユーザー視点で最も求められているもののひとつは、独占タイトルの充実です。 これまでSIEも、自社販売の作品も含めた独占タイトルの確保に注力してきました。直近では、『Rise of the Ronin』や『アストロボット』など効果を上げたタイトルもありますし、世界的な大ヒット作も生まれました。しかし、長く愛され続けるシリーズ展開として見た場合、任天堂ほどうまくいっているとは残念ながらいえません。 2025年には、『Ghost of Yotei』や『Death Stranding 2 On The Beach』が、PS5専用ソフトとして登場します。後日PCなどに展開する可能性もありますが、こうした完全独占または時限独占のラインナップを充実させていき、「このゲームをPS5で遊びたい」とユーザーに思わせることができるかどうかが、大きな分かれ目となるでしょう。 * * * いまも人気の高いスイッチから後継機に向け、ユーザーをうまく移行できるのか。また、「性能」と「低価格」という両立の難しい要望に、どのような答えを出すのか。好調な任天堂だからこそ、次に乗り越える壁は高いものになっています。 PS5が発売されてからまだ4年ほどなので、SIEはまだしばらくPS5を主軸に戦うことになるでしょう。ようやく普及は進んだものの、独占タイトルの弱さは否めず、いかに層を厚くするかが大きな課題です。
臥待