レッドソックスのトレード第1弾で放出選手が異例の涙の会見
プレーオフ進出の望みがほぼ消えたレッドソックスが、ウエーバー公示を経由せずトレード可能な期限7月31日(東時間午後4時)前のトレード第1弾として、2013年のワールドシリーズ優勝メンバー、ビクトリーノ外野手(34)をエンゼルスにトレードした。この日のビクトリーノは二番・右翼で先発オーダーに名を連ね、打撃練習も行っていたが、試合開始1時間前に球団が発表。チェリントンGMは「週末から話し合いを進め、今日の午後、話が煮詰まり練習の途中に正式に決まって彼本人に伝えた」と経過を説明した。試合後、フェンウェイ球場で行われた惜別会見は今どきのメジャーリーガーには珍しい涙、涙の会見となった。 冒頭、球団や関係者、ファンへの感謝の気持ちを語り、世界一を味わった喜びと、ここ2年間の怪我との戦いを振り返りながら気丈に振舞っていたビクトリーノだったが、登場曲、ボブ・マーリー作曲「スリー・リトル・バード」はボストンのファンと自分を繋いだ思い出の歌として、新天地アナハイムでは使わない意向を語った瞬間、堪えていたものが堰を切ったように涙を流した。 「ここで、契約の最後(今季一杯)までプレーしたかった。2012年、人々は僕に対して疑問を投げかけていた中でレッドソックスが信じてくれた。ワールドシリーズに勝つチャンスを与えてくれた球団には感謝の気持ちしかない。チームメイトを恋しく思うだろう。この街で2013年に起きたことを忘れることはないだろう。そして、みんなも僕を忘れないでいて欲しい」 球界の付き物、この時期の当然の事象として、トレードを淡々と受け止める選手が多い昨今のメジャーでは、珍しい「涙の会見」だった。特に、請われてプレーオフを目指すチームに移籍する場合は、その先に大きな目標がみえる転機でもあり、喜んで受け入れる選手も多い中で、ビクトリーノはボストンを去る寂しさを隠そうとはしなかった。