競輪レーサーと野生のクマ、どちらが速い? 選手のリアルなクマ遭遇から考えるサバイバル
クマとの遭遇は競輪界でも話題になります。競輪選手たちは街道練習をしたり、過酷な自然環境のなかを走ったり、ときにはレース後にキャンプを楽しんだりすることもあるからです。この記事では、選手たちの体験を通じて、クマに遭遇したときの対処策について考えてみます。(netkeirin編集部・木村邦彦)
練習中にクマ遭遇!逃げ切った競輪選手
環境省が5月9日に公表した「クマ類による人身被害について」速報値によれば、2023年度のクマによる人身被害は全国で219人に達し、死者は6人にのぼりました。統計のある2006年度以降で最悪の数字です。 北海道を代表する競輪レーサーの大森慶一選手(42歳=88期)も、かつて練習中にクマと遭遇した体験を持つ一人。この出来事を知る競輪評論家の加藤慎平氏は、次のように伝えています。 「降雪地帯という土地柄、レーサー(レースで使用する自転車)に乗っての練習が制限されるため、それを逆手に取った練習法を編み出している。時には野生のクマに出会い、命からがら逃げ出したこともある」(加藤慎平コラム「筋トレマニア加藤慎平の筋肉で語る競輪」netkeirin2021年12月2日) 大森選手は地元が雪深い地域ということもあり、独特のトレーニング方法を実施しています。雪山でのマウンテンバイク走行や、起伏の激しいコースでの脚力とバランスの鍛錬などです。この厳しい自然環境で、クマと遭遇し、追いかけられた経験も。こうしたハードな練習や苦労の甲斐あって、大森選手は現在もG1戦などグレードの高いレースで活躍しています。 北海道では23年度に、2人がクマの被害で亡くなっています。近年、北海道でクマが多数目撃されるようになったのは、1989年度の春グマ駆除の廃止により個体数が増え、分布が広がったため。さらに、森林業者や狩猟者が減ったことも影響。クマの警戒心が薄れていると言われています(クマ類保護及び管理に関する検討会『クマ類による被害防止に向けた対策方針』2024年2月8日、p.4)。