旧統一教会・元広報部長の懺悔本、元オウム真理教の上祐史浩はどう読み解くか?
■ オウムが統一教会から学んだノウハウ 上祐:少なくとも幹部信者に対しては、麻原は直接、明確に自分の意志を指示していました。そして多くの場合、幹部信者は彼の意思・指示に引っ張られていきました。 その1つは総選挙への出馬です。 選挙に出るか出ないか、麻原は幹部を集めて意見を聞きましたが、その時に反対を表明したのは、私ともう1人の幹部信者だけでした。 他の幹部信者は、後に死刑となった早川紀代秀や新実智光なども、会合の後、裏で「選挙に出ても勝てんよなぁ」とボヤいていました。なぜ会合で反対しなかったかを聞くと、「言えんよ、到底言えんよ」などと言っていました。 私は教団の殺人事件に関して直接見聞きしていませんが、幹部信者の裁判での証言を見ると、幹部がためらっていても、麻原が押し切るという意思決定のプロセスがあったことが分かります。 ──統一教会というと、信者から多額のカネを収奪する印象があります。オウム真理教も信者の財産を収奪したと報道されていましたが、統一教会からの影響があったと思いますか。 上祐:麻原には、オウム真理教を開く前に阿含宗の信者だった時期がありますので、新興宗教団体に広く共通する集金主義に関しては、統一教会ではなく、その辺から引き継いでいたのではないかと思います。 一方、私が知る限り、オウム真理教が統一教会から学んだ(真似した)のは、ビデオ教学(ビデオを使って信者を勧誘する)という手法です。それから、正体を隠した勧誘も真似したと思います。本をたくさん出版するプロモーションは、幸福の科学や生長の家を真似したものだと思います。 長野光(ながの・ひかる) ビデオジャーナリスト 高校卒業後に渡米、米ラトガーズ大学卒業(専攻は美術)。芸術家のアシスタント、テレビ番組制作会社、日経BPニューヨーク支局記者、市場調査会社などを経て独立。JBpressの動画シリーズ「Straight Talk」リポーター。YouTubeチャンネル「著者が語る」を運営し、本の著者にインタビューしている。
長野 光