米、窒素吸入で初の死刑執行 国連は「検証不足」と懸念
【ニューヨーク共同】米南部アラバマ州は25日、殺人罪で有罪となったケネス・スミス死刑囚(58)に窒素吸入で死刑を執行した。米メディアによると、窒素で酸欠死させる手法は米国初。国連人権高等弁務官事務所などは「検証不十分だ」と懸念を示し、中止を求めていた。 米国の死刑は鎮静剤と筋弛緩剤、心臓を止める薬物の注射が一般的だが、スミス死刑囚への過去の執行を含めて死に至らない例が相次いだ。製薬会社も製品の流通を制限している。窒素吸入は苦痛がないと主張する専門家もおり、手法を巡る議論が活発化しそうだ。 スミス死刑囚は1988年に女性を殺害した罪で死刑が確定した。女性の夫=事件後に自殺=が保険金目的で殺害を依頼していた。州は2022年11月に薬物注射で死刑を試み、静脈に針を刺せずに中止した。 死刑囚はその後に窒素吸入を望んだが、執行が決まると「過度な苦痛」と意識障害の恐れがあると訴えた。差し止めを求めて提訴し、連邦地裁は今月10日、死刑囚の主張は根拠に乏しいとして請求を棄却した。