ハイテク大手に対する各国政府の「データ開示請求」が急増中
世界各国の政府や法執行機関が、ハイテク大手に対し行ったユーザーデータの開示請求に関するレポートが公表された。それによると、米国の請求件数はEUの2倍に達しており、その数は着実に増加している。 調査を行ったサーフシャークによると、各国政府によるアップル、グーグル、メタ、マイクロソフトへのデータ開示請求は、2013年から2022年の10年間で約8倍に増加し、2022年には前年の160万件から約38%増の220万件に達したという。 「2022年の急増は驚くべきことではない。なぜなら、この年にユーザーデータの開示を請求した政府の数は147と過去最高を記録したからだ。2021年には、140の政府がユーザーデータの開示を求めていた」と研究者らは述べている。 各国の政府や当局は、デジタルの証拠が必要となる犯罪捜査や民事事件、行政案件などに絡む理由でデータの開示を求めている。2013年から2022年にかけて、最も多くのデータ開示請求を行ったのは、米国とEUの当局で、全アカウントの58%を占めた。米国は、およそ330万件のユーザーデータの開示を請求していた。 人口10万人当たりの開示請求は、ドイツが850アカウントで2位だった。3位はシンガポールで696アカウント、4位はイギリスで672アカウント、5位はフランスで616アカウントだった。さらに、バングラデシュやブラジル、カナダ、ギリシャ、ハンガリー、イスラエル、インド、メキシコ、ポーランドにおいても着実な増加が見られた。 企業別では、2022年のアップルへの開示請求が479%増加し、最大の伸びを示した。しかし、2013年から2022年にかけて当局が最も関心を寄せたのはメタのアカウントで、360万件に上っていた。この数字は、同期間に開示請求された890万アカウントの40%以上を占めていた。 対照的に、アップルへの開示請求は85万3700件と最も少なく、当局が関心を寄せているアカウント総数の10%に満たなかった。 「サーフシャークの調査によると、政府によるユーザーデータの開示要求は大幅に増加している。最近のEUで提案されたチャット・コントロール法案は、政府による個人データへのアクセスを大幅に拡大する可能性がある」と、同社でプライバシー・カウンセルを務めるゴダ・スカッカイトは述べている。チャット・コントロール法案において、ユーザーは、テキストメッセージや音声などが暗号化される前にスキャンされることに同意しなければならないという。 2016年以降で最も開示に前向きだった企業はアップルで、2016年には75%、2022年には83%の要請に応じた。グーグル、メタ、マイクロソフトの割合はそれより若干低く、それぞれ72.9%、72.8%、67%だった。 「サーフシャークの調査は、政府によるユーザーデータの開示要求が大幅に増加していることを示している。当局が重大犯罪に対抗する手段を持つことは重要だが、ユーザーのプライバシー侵害を防ぐための努力も重要だ」とスカッカイトは述べた。
Emma Woollacott