SNSや動画配信で「ドブ板選挙」が様変わり 東京都知事選、先の港区長選で勝因の一つ動画広告がいまや〝政見放送〟に
【新田哲史 東京都知事選・大情報戦を斬る!】 東京都知事選(20日告示、7月7日投開票)に向けて、現職の小池百合子知事と、蓮舫参院議員は18日、選挙公約を発表する。実績や経験、支援組織だけでなく、政策面での女傑対決も注目される。かつて、「選挙の天才」と呼ばれた田中角栄元首相は戸別訪問3万軒、辻説法5万回を「勝利の法則」として若手議員に説いたが、1100万人超の有権者がいる都知事選ではドブ板選挙は難しい。インターネットを使った選挙活動の解禁は、旧来と違う発信を可能とした。報道アナリストの新田哲史氏は、地方・国政選挙を激変させている、ネット選挙に迫った。 【画像】物議を醸している、共産党が作成した「蓮舫氏のビラ」 小池知事と、立憲民主党を離党した蓮舫氏の「二強対決」でテレビが盛り上がるなか、ネットで「第三の男」として注目を集めるのが広島県安芸高田市の前市長、石丸伸二氏だ。 自民党国会議員夫妻による大型買収事件のあおりで、2020年7月、前任市長が辞職した。石丸氏は同市出身で、京都大学を卒業後、三菱UFJ銀行に入行し、ニューヨーク勤務も経験したエリートだったが、ふるさとの立て直しに一念発起し、同月、無所属出馬した。 初当選後は、市議会での居眠り議員に「恥を知れ!」と一喝するなど大胆な言動がユーチューブ経由で拡散し、〝インフルエンサー市長〟として大ブレークした。同市のユーチューブチャンネルの登録者数は、全国の自治体でダントツの26万超を誇る。 15日に都内の事務所で開いた、石丸氏のボランティア説明会には約1000人が集結。16日の秋葉原駅前の街宣には、組織がないのに少なくとも500人の聴衆を集め影響力の高さを見せつけた。陣営幹部は「マスコミ報道の『小池vs蓮舫』という構図をネットから崩したい」と意気込む。 インターネットを使った選挙活動(ネット選挙)が解禁されて11年。当初はネットの人気が得票に直結しなかったが、近年の選挙では参院比例代表における自民党の山田太郎氏や、NHK党(当時)のガーシー氏のように、SNSや動画で影響力を持つ候補者の当選が相次いで、様変わりしている。 実は、動画発信は「ドブ板」の地方選挙の光景も変えつつある。