東芝がBリーグの名門・川崎をDeNAへ譲渡。身売り価格300万円の理由とは
東芝は、連結子会社のTELSサービスが運営していたプロバスケットBリーグの川崎ブレイブサンダースをDeNAに譲渡することを6日、発表した。両社の責任者が出席して川崎市内のホテルで承継合意の記者会見が行われたもの。また同日行われたBリーグの理事会にて「オーナー変更」が承認された。 すでに開幕している2017―2018年シーズンについては、TELSがそのままチームを運営、DeNAはスポンサーとして支援。DeNAは、来年1月以降に株式会社DeNAバスケットボール(仮称)を設立し、2018-2019年シーズンを前にした来年7月1日から正式な運営をスタートさせる。 川崎ブレイブサンダースは、1950年に創設された東芝の企業チームが母体で、NBLで2回優勝し、全日本選手権で3度の優勝を誇る名門。Bリーグ初年度はファイナルへ勝ち進んだ。 その強豪を67年間に渡って運営したきた東芝がチームを手放す理由について、この日、東芝の豊原正恭・執行役上席常務は、「一般論として申し上げて現在の私どもの状況からいたしますと、いろんな面で経費の削減を考えるのは、企業として継続的に行っていること。しかし、今回(の譲渡)は、その側面より、チームの今後の発展、リーグの発展に何がいいかを検討した結果」と説明、本社の経営圧迫による“身売り説”を否定した。あくまでも、チームの継続的な発展を考え、ベイスターズでの成功ノウハウを持つスポーツ経営のプロであるDeNAへチームを譲渡したという理由を主張した。 またどちらが先に譲渡の話を持ちかけたかについても「どちらからと特定したお話でなく一般的なスポーツに関する話の中で一致を見た」と口裏を合わせ、ハッキリと返答しなかった。 実際は、東芝は、水面下で銀行筋の紹介などを含めてDeNAより先に複数の企業と譲渡交渉を行っていた。その中には、横浜DeNAの前社長だった池田純氏を中心としたグループもあったという。 今回の譲渡価格は、たったの300万円。DeNAのスポーツ事業本部戦略部の西谷義久・部長は「資産、負債の帳簿価格を(譲渡の)対価として支払うということ」と補足した。プロチームの資産価値として、ほぼゼロ評価である。 先日、Bリーグが発表した2016-2017年シーズンの決算表によると川崎の営業収入は、約9億5400万円ほどあり、経常利益は、約2億5000万円になっているが、営業収入のうち約6億5000万円がスポンサー収入で、実は、そのほとんどが東芝本社からの補填。実質は赤字経営で本社の経費削減の対象となっていた。