水球だけやっていればいいわけじゃない――日本代表・新田一景が“水球のまち”で育んだ「社会貢献したい」という強い思い
市を挙げての支援に「水球だけやっていればいいという考えが少なくなってきた」
モンテネグロ代表監督を指揮したペロビッチとブルボンKZの縁――。それはペロビッチがクラブチームを指導していたとき、ライバルチームの選手に青栁がプレーしたことで生まれたのだという。そのつながりからペロビッチはブルボンKZに招聘され、18年にはクラブ史上2度目となる日本選手権優勝に導いた。その指導を学生時に経験した新田はこう振り返る。 「ランコは足の技術の練習をよく知った上で、日本のスタイルに合わせながらスイムの練習を取り入れた。4月にチームが始動し、日本選手権に向けて仕上げていく中、自分たちが勝つことを突き詰めて日本の練習も取り入れたんです。周りの環境に合わせながらチームを強化した一流の指導者です。ブルボンKZは今もランコとコンタクトを取って、情報をアップデートしています」 U22に相当する新潟産業大を卒業すると、新田は自然の流れでトップチームのブルボンKZに入団した。UZSCでプレーしながらも、今もブルボンKZに籍を残す新田の柏崎での生活は7年に及ぶ。 柏崎は「水球のまち柏崎」を謳って市を挙げてこの競技を支援している。18年にブルボンKZが日本一になったときには優勝を記念するパレードが実施され、沿道には1500人もの市民が駆けつけたという。近年は、東京で開催される日本選手権に出場するブルボンKZを地元から応援するために、市役所の多目的室でパブリックビューイングが開かれている。 「柏崎の水球の盛り上がりは、日頃から本当に感じていることです」とオランダのカフェでしみじみと新田は言う。 「柏崎市役所の部署に『水球のまち推進室』があって、水球の情報をいろいろと発信してくれています。おそらく他の自治体ではないことだと思います。日本代表がアジア大会で優勝したときにはブルボンから出場した3選手1コーチの懸垂幕を作って市民プラザに掲示し、それを見た人たちが自分たちの顔を覚えてくれて、街を歩いていると声をかけられたりするんです。周りの人の応援を日常から感じています。自分たちも水球だけやっていればいいという考えが少なくなってきて、社会貢献したいという思いが強まっています。 応援されるようなチームになるにはどうすれば良いのか。そういうところで自分たちは積極的に地域活動に参加しています。柏崎は日本海沿いの町ですので、海岸の清掃活動はその一つ。また、自分たちは小学校で水球の授業もやっています」
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