野菜の需要AIで予測 直売所やスーパーで拡大 売り切れやロス削減
農産物直売所やスーパーが、人工知能(AI)で青果物の需要を予測するシステムを導入する動きが広がってきた。天候や販売実績を基に日々の来客数を予測し、適切な販売量や価格を導き出す。売れ残り解消だけでなく、売り切れによる販売機会のロスも減らす。 情報通信システムの開発などを手掛けるNTTデータ関西(大阪市)は4月、直売所に特化した需要予測サービス「アグリアスエ」の提供を開始した。JAなど全国各地の直売所事業者が導入の検討を進めている。 独自に開発したAIエンジンで客数や需要量を予測し、2週間先までの販売数量予測を生産者・品目別にはじきだす。店舗が複数ある場合には、家族世帯中心、単身者中心、観光客が多いなど、各店の特性も加味して精度を高める。システムは店側が導入し、生産者に予測情報を伝達する。 さらに、各生産者の販売実績を品目別に分析し、最もよく売れる価格と販売予測数も表示する。生産者は予測数と日々の生育や収穫量を照らし合わせ、出荷量と価格を検討できる。各情報はパソコンやスマートフォンで確認が可能だ。 スーパーもデータ活用を進める。マックスバリュ東海(静岡県浜松市)は11月、生鮮食品の自動発注支援サービスを全240店(12月1日時点)で導入した。日本気象協会が提供する気象データ、販売データやカレンダー情報を基に、AIで来客数や品目別の需要を予測する。 昨年10、11月、青果物約700商品を対象に、日別の発注推奨数を配信する実証を32店舗で実施。発注作業にかかる時間を19%、廃棄額を5%減らした。 青果物は生鮮食品の中でも発注予測が難しいとされる。同社は「気温や相場、販促イベントで需要が大きく変動する」(戦略部)と理由を説明。複雑な要因を加味した高精度な分析をデータ活用で可能にし、発注業務の効率化を進める。