投票しないことも政治参加に?衆院選投票率は戦後3番目の低さ…選挙に行かない理由とは「政治に関心がないわけではない」「投票だけが大事ではない」
■日本の衆議院選挙、2009年から投票率急降下 原因は
一方で、日本の衆議院選挙は戦後3番目に低い投票率に。この対照的な結果の背景には何があるのだろうか。鈴木氏は「日本の場合、今回の選挙は石破さんが自民党の党首に選ばれ、その直後に総理になり、すぐに解散総選挙が行われた」ことを一因とし「石破さんが何をしたいのかが分からないまま、判断材料がないのに『とにかくやれ』と言われた。どうしたらいいのか、誰がいいのか全く分からない状況だった」と分析する。さらに、「テレビなんかでは裏金問題が浮上し、2000万円が支部にばら撒かれていた。これで多くの人が『もういいよ、俺が行かなくたって』と思った。これが投票意欲の冷え込みに繋がった」と述べた。 また、選挙の先に新たな結果が予想できなかったことも理由だとした。「野党が自民党に取って代わるだろうか、立憲民主党だけでは政権を単独で取れないのではないか。では他のどの党と組むのかといったことが全く提示されないまま選挙が進んだ。このように、自分が投票することで政治がどう変わるのかが全く結びつかない状況だった」と説明した。 選挙における大きな要素は「選挙が面白いと思えるかどうか」であると鈴木氏は強調する。「変化が起き得ると思えば多くの人が投票に行くが、2009年の高い投票率が次の選挙でガクンと落ちたのは、自分たちが投票しても変わらないと思ったからだ」。2009年の衆院選といえば、民主党が単独過半数を獲得して、政権交代を成し遂げた選挙。ところが翌年以降、投票率は急落した。「2009年からの政治に対するガッカリ感」に起因しており、「政治が面白くない、投票しても意味がないと思ったら投票に行かなくなる」と、過去の結果が招いたものだとした。
■必ずしも「期待薄」「無関心」が理由ではない投票率の低下
選挙の投票率が低下している理由について、政治への期待の薄まりや、無関心だけが原因なのだろうか。40代の大学准教授・琵琶湖氏は「一番大きいのは正直、面倒くさい。投票という行為に大きなメリットが感じられないからだ」と述べた。「自分の一票が決め手となる確率はほとんどゼロに等しい」という考えが、選挙に行く意欲をさらに削いだという。 政治を変えたいなら投票よりも政治活動をするべきだという持論もある。「抜き差しならない時代には政治運動をやって、まとまった票を作り出す方が重要だと思う」と述べ、「投票所に行くことだけが大事な行為ではない」と強調する。これには鈴木氏も「投票所に行くのも一つの政治への関わり方だが、行かないというのも政治への関わり方だ」との理解を示した。 琵琶湖氏は「政治に関心がないわけではない。自民党を基本的に応援しているし、政策や政治には関心がある」と述べるが、投票所に行くことが合理的だとは思わないという。「ある程度の投票率が維持されることは大事だとは思うが、自分の行動は合理的なものでありたい」とする。これに鈴木氏は「若者の投票率が増加し、国民民主党の躍進に繋がった。動かないと得をしないのは確かだ」と述べ、投票の意義を再確認した。ネットの影響についても「偏った情報を得るリスクは常に存在する。政治家側の責任も大きい」と指摘していた。 (『ABEMA Prime』より)
ABEMA TIMES編集部