50歳で「養子」に授乳するゴリラを確認、異例かつ感動的、母に拒絶された子2頭を世話
「フレディを見てください」
ゴリラの群れにおけるフレディの役割は、高齢の個体の重要さを教えてくれる。 「彼女の行動は、人間の大家族における高齢女性の価値を思い出させてくれます」とルーカス氏は言う。実際、氏がフレディについて語る際には、しばしば「知恵」という言葉を使う。 例えば、霊長類の飼育チームは、フレディが他のゴリラの母親よりもずっと早い時期から赤ちゃんゴリラを背中に乗せるのを観察してきた。おかげで彼女は自分を自由に動けるようにしつつ、赤ちゃんには安全に過ごせる場所を与えて自信をつけさせていた。 「私たちの使命は、動物園のゴリラをしっかり世話することだけではありません。動物園のゴリラたちの経験を、彼らの故郷であるアフリカで現在起きていることと結びつけることも、私たちの重要な使命です」と、米動物園水族館協会(AZA)の認定動物園と野生のゴリラの保全活動を監督しているルーカス氏は語る。 「ゴリラの赤ちゃんは本当に愛らしいので、来園者の目は赤ちゃんに釘付けになりがちです。けれども私は彼らに、フレディを見てくださいと言っています。彼女ほど美しく表情豊かな目をもつゴリラは、ほかにいません。私は折にふれて彼女の目を見ます。彼女の目には、私たち人間を変える力があります」
文=Elisse Gabriel/訳=三枝小夜子