カゴメの「野菜生活100」、開発当初に「こんな商品ありえない!」と反対にあった「意外な理由」
あのロングセラー商品はどのようにして生まれ、どのようにヒットをつづけてきたのか。その道のりをたどる「ロングセラー物語」。今回は、発売から29年となる、カゴメの「野菜生活100」にスポットを当てる。現在のブランド担当者が商品の歴史と今を語る。 【写真】「日本のどこがダメなのか?」に対する中国ネット民の驚きの回答 〔撮影:西崎進也〕 ---------- 【語る人】土岐晃彦さん とき・あきひこ/'83年、東京都生まれ。一橋大学法学部卒。'06年、食品メーカー入社。'19年にカゴメに転職し、飲料企画部に配属。'23年より飲料企画部2グループ課長。 ----------
「ありえない!」の声
発売当時の'95年、健康になりたい、だから野菜をもっと食べたい、という思いはあっても、なかなか食べられない人が少なくなかった。そこで「野菜不足をおいしく解決できる」をコンセプトに生まれたのが、「野菜生活100」でした。 野菜ジュースはすでにありましたが、まだまだメジャーな飲み物ではありませんでした。そこで、多くの人においしく飲んでもらおうと発想したのが、果物を混ぜることだったんです。 当時としては異端な発想で、会議でも「ありえない!」といった声も飛んだそうです。しかし、果物を使ったことで、圧倒的に飲みやすくなった。 ロングセラーになったのは、おいしさへの強いこだわりがあったからだと思っています。例えば、ニンジン原料は、300~400種類の中から選んだと聞いています。世界各国のニンジン原料を分析。香味をチェックし、匂いが少なく、しかもベータカロテンを多く含むニンジンを選んで使用しています。 野菜と果実の比率などにもこだわって設計しています。野菜と果実の糖のバランス、果実のパルプ(繊維)の量、粒の大きさ、それによるコクの出方の違いなどで、おいしさは変わる。ブレンドのやり方など、カゴメの長年の技術の蓄積から生まれた商品でした。 そもそも土の中に埋まっている野菜の特徴ですが、ニンジンも傷つけられると虫をはねつけるように匂い成分を出す性質を持っています。これを取り除くのは、いろいろな工夫がいるんですね。 それでも野菜が苦手な人に飲みやすく飲んでもらいたくて、そのえぐみをどう取り除くかに挑んできた。熱の加え方や、すりつぶし方を工夫することによって、えぐみが出ないようにする技術があるんです。 さらに、果汁を入れて、飲みやすくする。実はかつては40%でしたが、ちょっとずつ野菜の量を増やし、今は30%になっています。野菜の量を増やすと、えぐみや苦みが出たりするのですが、ここでもフルーツがおいしく感じるようなブレンドのやり方があるんです。