【独自】TSMC熊本工場の内部へ④世界的半導体企業が熊本を選んだ理由…
今回取材した熊本工場の水処理施設。半導体製造に必要な“超純水”は、地下水に限らず、技術的にはダムの水からも作ることができるとのこと。さらに、平均3.5回再利用し、排水の水質まで監視するシステムが構築されています。
欠かせない半導体 世界的に懸念される資源とは…
半導体分野では、水以上に注目されている資源があります。 東京大学などで研究を続けてきた国内の半導体研究の第一人者、熊本県立大学の黒田忠広理事長は「水以上に懸念しているのが電力、エネルギー。2025年すぎくらいから、世界的に見て電力の需給が逼迫します」と話します。
「経産省の説明では、これからの日本が必要としている電力の不足を補うには、原子力発電所5基分が新たに必要になると。その5基のうちの1基は、半導体の製造に必要。残り4基は、半導体を使ったデータセンターの稼働に必要とされています。地球環境を保全しながら、いかに電力を確保するか、半導体製造に使う電力をいかに節約するか。2つの技術研究開発が重要なテーマになると思います」 電力供給の問題は、日本だけでなく世界全体の重要なテーマになるというのです。 こうしたなか「電力の供給能力が十分にあること、エネルギー効率の高い最先端の半導体を製造する能力が高いこと、2つが揃っている地域として、日本、とりわけ九州が注目されているのは間違いない」といいます。 現代の生活に不可欠な半導体。国の経済安全保障を左右する戦略物資として各国が誘致合戦に力を入れる中、その先にどのような影響があらわれるのか。見つめていく必要があります。