代表漏れした本田、香川、岡崎はこのままロシアW杯本番でも外されるのか
2015年3月の就任会見で発したメッセージを引き合いに出したハリルホジッチ監督は、今回招集しなかったすべての選手を「リスペクトしている」と断ったうえで、こう続けてもいる。 「あとはオーガナイズ、システム、ゲームプランによって変わる。それからタクティクスチョイス(戦術の選択)で誰が合う、というのもある」 ここで触れたゲームプランや戦術の選択が、実は個々のパフォーマンスよりもはるかに大きなウエートを占めていると言っていい。指揮官は就任以来のベストゲームとして、2‐0の快勝で6大会連続6度目のW杯出場を決めた、8月31日のオーストラリア戦を挙げている。 「我々の今後の基準となる試合かもしれない」 以前にこう語っていたハリルホジッチ監督は、この日の会見でも「オーストラリア戦は最もいい試合だった」と念を押すように繰り返した。オーストラリアを徹底的に分析し、ボールポゼッション型に転じて間もない相手の弱点をほぼ完璧に洗い出した。 その上で中盤の形を、アンカーに長谷部誠(フランクフルト)を置く逆三角形型に変更。インサイドハーフには運動量が豊富で、ボール奪取術にも長けた山口蛍(セレッソ)と井手口陽介(ガンバ)を配置し、相手の生命線となるボランチへ執拗にプレッシャーをかけてパスワークを分断した。 そしてボールを奪うやポストプレーが巧みな大迫に預け、ドリブルを得意とする乾貴士(エイバル)と韋駄天の浅野の両ウイングを、相手の最終ラインの裏へ何度も走らせた。 日本のボールポゼッション率は38.4%。オーストラリアに主導権を握られたように映るが、その実はシュート数で15対4と圧倒した90分間を、日本よりも格上の相手と対峙するロシア大会にも通じる戦い方だと確信し た。 今回も同じような戦い方、つまりは肉を切らせて骨を断つプランを実践できるメンバーを選んだことになる。ちなみに、オーストラリア戦で本田と香川はベンチのままで、岡崎は後半42分から大迫に代わって出場しただけだった。 つまり、オーストラリア戦がベースとなる限り、本田はスピードで浅野や久保を、香川は球際の攻防を含めた守備面で井手口や長澤を、岡崎はボールを収める術で大迫や興梠を上回らない限り、指揮官のなかで固定されつつある序列を覆すことは難しくなったと言わざるを得ない。 今回の欧州遠征が終われば、W杯メンバー発表までの間で海外組を招集できる国際Aマッチデーは来年3月下旬の一度のみ。本田はベンチを暖めていたミラン時代とは違いメキシコのパチューカでは試合出場機会をつかみ、その存在感を示しつつあるのだが……序列を覆す大逆転を狙う上で、本田、香川、岡崎に残された機会はあまりにも少ない。 (文責・藤江直人/スポーツライター)