高山にすむ希少な二枚貝「ハイイロマメシジミ」の生息環境守れ 徳島のNPO、三嶺にシカの植生破壊防ぐ防護ネット設置
三嶺(1894メートル)の湿地帯に生息する微少な二枚貝「ハイイロマメシジミ」を保護しようと、NPO法人・三嶺の自然を守る会はシカなどを近づけないように防護ネットを設置した。同会によると、シカの食害などで生息環境が悪化し、以前よりサイズが小さくなるなどの影響が出ている。 剣山系・石立山でツキノワグマ目撃 高知市の男性 ハイイロマメシジミは、マメシジミ科に属する淡水産の二枚貝で、殻長3~5ミリ程度の卵形。日本での確認例は少なく、三嶺では2001年6月、四国で初めて発見された。 同会によると、ハイイロマメシジミの発見当初、生息する湿地周辺は、スズタケやミズナラの稚樹など下層植生が多く地表面が被覆されていた。しかし05年ごろからシカの食害などにより下層植生が減少し、現在は地表面が丸見えになるほどの全滅状態となった。 下層植生がなくなると、豪雨時などに保水力の高い表土が流失。表土が流れた後は乾燥しやすくなり、湿地に生息するハイイロマメシジミにとっては悪影響になる。同会は「発見当初は5ミリくらいのサイズだったが、現在は3ミリほどに小さくなった」と指摘する。 会員ら5人は13日、三嶺北側中腹の平坦(へいたん)地(標高約1320メートル)にある湿地の周囲にステンレス入り防護ネット(高さ1・8メートル)を設置。今後は湿地の水量の確認やネットの損傷点検などの保護活動を続ける。 ハイイロマメシジミは三嶺のほか、北海道や栃木県の山岳地帯の湖などで生息が確認されている。片山博之理事長(64)は「全国に数カ所しかいない珍しい希少種。大切に保全したい」と話した。