阪神・原口文仁、国内FA権行使表明「スタメンから勝負したい」
阪神・原口文仁内野手(32)が12日、西宮市内の球団施設で会見し、今季取得した国内フリーエージェント(FA)権の行使を表明した。今季は主に代打の切り札として貢献してきたが「もっとゲームに出たい、スタメンから勝負したいという気持ち」と理由を語った。出場機会を求めたプロ16年目への決断。球団は宣言残留も認めており、今後の去就に注目が集まる。 タイガースへの愛と感謝の念は尽きないが、プロ野球人生の岐路で大きな決断を下した。原口が国内FA権の行使を発表。慣れ親しんだ球団施設内で自らの思いを語った。 「今回FA権を行使させていただきます。一番はやっぱり、もっとゲームに出たい、スタメンから勝負したいという気持ちが強かった」 代打の切り札として何度もチームを救ってきた勝負強さを、もっともっと発揮できる場所が欲しい―。野球人としての欲求が勝った。今季は主に右の代打として52試合に出場し、打率・241、2本塁打、9打点。代打打率は2割5分を超えれば上出来とされる中で「・279」をマーク。野手では現役最長の在籍年数となり、野球に対する姿勢を示し、ときにはムードメーカーとしてもチームに尽くしてきた。 来年3月に33歳を迎える。まだまだ働き盛り。出場機会が増えれば、まだまだやれるという自負がある。「自分の中でも積み上げてきたものがある。何とか出たときに結果を出すというスタンスは、スタメンでも代打でも今まで変わりなくやってきた。その中で結果を残してきたというのもある。勝負の世界に入っているので、そこは何とも言えないですけど」。球団からは複数回の話し合いで残留を求められたが、さまざまな可能性を模索するために自身の心に従った。 2010年に帝京高からドラフト6位で入団。度重なるけがで育成契約も経験したが、16年4月に支配下再登録を勝ち取った。18年には08年の桧山進次郎に並ぶ球団記録のシーズン代打安打「23」を記録。26歳の冬に病魔に襲われ、19年1月に大腸がんを公表したが、手術を受けて同年6月に1軍へのカムバック。〝不屈の男〟として阪神ファンだけでなく、プロ野球界の垣根を越えて感動を与えた復活劇も記憶に新しい。24年1月に手術から5年が経過し、医師から「完治」を告げられ、心身ともに不安もない。 「球団の方たちに数多くのサポートをしていただいて、感謝の気持ちはあるんですけど、野球人としてまだまだやれるんじゃないかという可能性を自分の中で消せなかった。挑戦できる場所があるのならば、若い子に交じってでも勝負したいという気持ちがあります」