富裕層に寄り添うプライベートバンカーたち…想像を超える「顧客サポート」の全容
富裕層の資産運用をサポートするプライベートバンカーだが、サポート内容はときに投資助言を超え、生活のさまざまな範囲に及ぶ。驚くべき実態を垣間見てみよう。メガバンク出身の公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説する。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
プライベートバンカーが、顧客を知るためにとる「行動」
顧客にたいしてプライベートバンカーがまず最初に行うのは、顧客の現状把握と、どのようにして資産を築いてきたかを理解することだ。 まずは、顧客がどうやって資産を築いたのか、話をよく聞く。顧客が会社経営者なら、そのビジネスや、どんな考えで投資を決めているのか質問する。会話のなかから顧客のお金の使い方や投資に対する考え方を理解し、より良いアドバイスができるよう準備するのだ。 顧客がお金を自分で稼いだのか、それともお金を親から相続したのかを知ることも重要だ。親から相続したお金を持っている人はリスクを避けがちであり、慎重にお金を使いたがる人が多い。一方、自分でお金を稼いできた人は、リスクを取ってでも大きくお金を増やそうとする傾向にある。 顧客のお金の状況を正しく知るには、日々の出入り、持っている資産や借入金の合計、そして将来の老後資金や相続税なども考慮に入れる必要がある。 そして、顧客がお金をどのように保有しているかも確認している。国内にあるのか、それとも海外なのか、個人名義で持っているのか、法人名義で持っているのか、などだ。もし法人名義で持っている場合は、その会社の持株比率がどれくらいなのかも含めて把握する。
「傾聴力」は、プライベートバンカーたちの重要なスキル
プライベートバンカーの仕事において、顧客の話をじっくり聞く力はとても重要だ。 知り合ってすぐの顧客が、いきなり具体的な悩みや問題を相談してくることはない。プライベートバンカーは、そこからじっくり話を聞いて共感を示し、信頼関係を築いていく。 ときには、顧客の健康問題への対応も必要となる。もっとも、健康についての質問も、知り合っていきなり行うのは望ましくないため、こちらも信頼関係が築かれるまで待つことになる。逆に、顧客から健康に関する相談があったときには速やかな対応が必要だ。そのためプライベートバンカーたちは、介護施設や高度な医療サービス、専門医の紹介ができるように準備している。 ほかにも、子どもや孫の教育に関する問題にも、抜かりなく対応できるよう準備している。教育は多くの顧客にとって重要な関心ごとであり、教育関連の相談をされることもあるのだ。そんなときでもすぐ対応できるよう、受験事情に明るい人物や、学校関係者を紹介できるよう備えている。ビジネスがグローバル化するなかで、海外留学に関する支援もプライベートバンカーたちの守備範囲になる。 そして、ファミリービジネスを持つ家族の後継者問題への対応も重要な役割である。後継者には、まず外部でさまざまな経験を積ませ、その後に社内でしっかりと教育するのが一般的だが、それについても折に触れてアドバイスやサポートを行う。 こんなことまでサポートするのか…と、思わず言葉を失いそうになるが、これらはすべてプライベートバンカーの実務内容だ。
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