「本物の地面師は殺人はやらない」「詐欺罪の懲役は10年まで。出所後に騙し取った金を得る」ドラマのモデルになった事件を取材した記者が語る「地面師たち」のリアル
◼︎「カミンスカス操受刑者は、“会いに行ける存在”だった」
━━取材できたメンバーはいるか? 「実行リーダーであるカミンスカス操受刑者にはインタビューができた。ドラマで綾野剛さんが演じたポジションにあたる。彼は都内のフィリピンパブなどに通っていて、内田受刑者とは異なり、“簡単に会いに行ける存在”だった。事件当時は小山操の名前で活動していたが、名前が広がりすぎたことから、逃亡前に外国人ホステスと婚姻関係を結び、相手の名字である『カミンスカス』に変えたという」 ━━綾野剛さんが演じたキャラクターと似ている点はあったか? 「共通する印象としては、口がうまい。彼はさまざまな不動産屋と会っているが、場を主導する洞察力と“間違ったことを言っても納得させてしまう力”があったという。取材した時も、私は彼が事件のナンバー2だと把握した上で話を聞いているのに、『騙すつもりはなかった』『正しい商取引だと思った』など、サラサラと嘘が出てきた。また、対応力も非常に高い。なりすまし役の女性に対し不動産業者が『この春はどこか行かれるんですか?』という質問をすると、彼女は『実家に帰る、桜がきれいで毎年楽しみにしている』とうっかり“本当の自分”のことを話してしまった。しかし、彼は即座にリカバリーしたという」 ━━事件を起こした地面師たちは全員捕まった? 「この事件については全員逮捕されたが、その後『騙した犯意が認められない』などの理由で証拠不十分となり3~4人が不起訴になった」 ━━騙し取られたお金は戻ってきたのか? 「どうなったか分からない。騙し取られた金は、ほぼ出てきていない」 ━━ドラマでは騙された被害者たちの姿もあったが、実際に地面師詐欺に遭った人たちはどうなるのか? 「この事件も含めて、地面師による詐欺事件を30件ほど取材した。被害者はホテルチェーンや中堅不動産会社など様々だった。中小企業や小規模の不動産屋のケースは、事業が立ちいかなくなり、借金取りから逃れるために家族がバラバラになったという人もいた」 ━━私たちが地面師詐欺に遭わないためには? 「土地やマンションを所有している人は自分の資産をしっかり管理する。管理会社などは常に監視してくれるわけではない。また紙での確認で満足せず、ちゃんと自分の目で自分の資産をチェックすることが大事だと思う」 (ABEMA/倍速ニュース)