「蓮舫氏は盛り上がったのになぜ?」「石丸氏は若者頼りではなかった?」「小池氏の強さの秘訣」人流データで見えた都知事選候補の本当の「集客力」
最後の街頭演説が行われた午後7時の新宿駅前。こちらも普段は20代の人流が多いのですが、40代~60代の人の割合が増え、若い人の割合は圧縮されていました。さらに男性の割合が伸びていることから、男性を多く集めたことがわかります。 このデータから推定されるのは、普段から支持者に多い50代を中心とした男性には訴えが響いたものの、やはり若者層を集めるには至らなかったということです。後に出てくる2人のデータと比べても、とりわけ60代の増え方が突出しています。 「あれだけ盛り上がっていたのになぜ」という疑問の答えは、ここにあるのではないでしょうか。盛り上がっていたのは確かですが、「内輪の盛り上がりだった」と定性的に言われていたことが、定量的なデータでも裏付けられたのではないでしょうか。
話題の石丸氏、演説を聞きに集まっていたのは「若者」ではなかった!?
とにかく街頭演説の「数」を多くこなしていたのが、石丸氏でした。最終日は公表されているものによると、10カ所で街頭演説をしています。 出口調査の分析などから「若者の支持を集めた」と言われています。では街頭演説を聞きに来たのも、若い人が多いのでしょうか。実は人流データでは、思わぬ結果が出ました。 普段から若者の多い、渋谷の宮益坂下。ここのデータを見ると、確かに20代の人流の割合は多いままですが、ぐっと増えているのは40代なのです。割合にして普段の3倍以上増えていました。
自民党の候補者が「若者にアピール」する時に街頭演説を行う、秋葉原の電気街。ここではなんと40代に加え、50代の人流が増えていました。20代はむしろ割合としては普段の半分になっています。しかも男性の割合が20%近くも伸びています。 石丸氏はSNSなどで演説する場所を告知しているので、わざわざ見に来たのが40代を中心とした層だったのではないかということが推定できます。
そして石丸氏が「東京駅がまるでフェスの会場」と言っていた、最後の東京駅前の丸の内側はどうだったでしょうか。普段よりプラス3100人、3倍もの人流になっていました。確かにかなりの盛り上がりがあったことを裏付けています。 ただ、データを見ると、どうやら、「フェス」に来た人で最も多かったのは、さらに年齢層が上がって50代の男性のようです。 「20代の人は支持していたとしても街頭演説をわざわざ見に行かない」ということもあるのかもしれませんが、少なくとも街頭演説を聞きにくるほど興味がある人は、40代、50代が中心だったと見られます。 逆にいえば、ネットの動画で若者に訴求していた石丸氏が、街頭演説を多数こなすという戦術によって、中高年への接点も増やしていたということがうかがえます。この日の街頭演説のデータの総計でみても、石丸氏が数多くの街頭演説をこなしていたことの効果が浮かび上がってきます。